マンスリーレビュー

2019年11月号トピックス2環境・エネルギー

プラスチックごみ問題の解決に向けて

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2019.11.1

環境・エネルギー事業本部古木 二郎

環境・エネルギー

POINT

  • 廃プラによる海洋汚染への対策強化が、人体への影響懸念などから急務に。
  • ペットボトルのリサイクルの経験を他製品にも活かすべき。
  • 日本の循環利用や削減の仕組みは途上国での廃棄物管理にも参考になる。
使用済みのペットボトルやビニール袋などプラスチックごみ(廃プラ)による海洋汚染対策が新たな段階を迎えている。2019年6月に大阪で開催されたG20では首脳宣言に、2050年までに海洋への廃プラ新規流出ゼロを目指すビジョンが盛り込まれた。日本は2018年G7で採択された海洋プラスチック憲章への賛同を米国とともに見送り、批判を浴びた経緯がある。今回はホスト国として思い切った公約を示したかたちだ。

廃プラは海で魚にとりこまれて人体にも悪影響を及ぼす懸念がある。スターバックスなどはプラスチック製ストローを使わない方針を表明した。買い物用のレジ袋や、化粧品や洗顔剤などに含まれるマイクロビーズについても、各国で規制が強化された。

こうした中、日本としても国内での廃プラの循環利用や削減を加速させる必要に迫られている。廃プラの主要な受け入れ国だった中国が輸入規制に転じたのに加え、有害廃棄物の輸出を規制するバーゼル条約の対象に、汚れた廃プラが加わったためだ。今後の取り組みとして、まずは単純焼却や埋め立てを無くすべきである(図)。続いて、温室効果ガス排出削減の観点から焼却処理を減らすとともに、油化・ガス化などのケミカルリサイクルや、廃棄前と同様の製品原料として利用する水平リサイクルを増やすことが期待される。

日本のペットボトルのリサイクル率は2017年度時点で84.8%と、世界最高の水準にある※1。容器包装リサイクル法の普及定着に加え、ペットボトルに全国統一の識別マークを表示し、回収物の用途を制限しないようボトル着色を自主規制して、水平リサイクルを可能にしていることも大きな要因である。この流れを他の素材・製品にも拡大するには、分別対象を容易に識別・区別できる仕組みづくりや、リサイクルを見越した製品設計も併せて検討していく必要があろう。

日本のペットボトルのように、分別努力と環境配慮設計により高い資源効率と低い環境負荷を実現したリサイクルの仕組み・経験は、経済成長でごみが膨れ上がる一方の途上国で廃棄物管理の仕組みづくりを進める際、大いに参考になるだろう。

※1:PETボトルリサイクル推進協議会の統計より。リサイクルに支障のない内容物を充てんした「指定PETボトル」の販売トン数を分母とし、国内外で再資源化されたトン数を分子として算出している。2017年度のリサイクル率は前年度比0.9ポイント上昇した。

[図] プラスチック資源循環の目指すべき方向性

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