マンスリーレビュー

2020年1月号トピックス6経済・社会・研究開発

50周年記念研究 第1回:「100億人・100歳時代」に豊かで持続可能な社会を実現するために

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2020.1.1

未来構想センター関根 秀真

POINT

  • 三菱総合研究所は創業50周年を機に50年先の未来を展望。
  • 技術の進展と組み合わせで100億人・100歳の壁は克服できる。
  • 豊かな地球と社会を持続するための課題と解決への道筋を明らかに。
三菱総合研究所では、2020年9月に創業50周年を迎えるのを機に、次の50年を展望して「目指すべき未来社会」の設計とその実現方策の研究に着手した。いまから50年先、21世紀後半には、世界の人口が100億人に近づく一方、高齢化も各地に広がり、日本を含む先進国では100歳を超す人口の割合が高まると予想される。そこに至るまでには、温暖化、格差・分断など、現に顕在化している地球・人類レベルの課題にも解決のめどを立てなければならない。

望みはAI・生命工学など先端技術の急速な進展である。デジタル技術の幾何級数的進化が資源に依存しない経済成長を可能にし、100億人の地球人口に豊かさをもたらす。バイオテックやロボット技術は、人間という生物の限界を拡張し、100歳を超える健康長寿も現実のものとする。もちろん、その過程では、人間をはるかに上回るAI・ロボットの能力を適切に制御し、生命・倫理を含む人間と技術革新との調和を図る必要がある。学際的な叡智の結集が求められる。

50年前、1970年代前半の世界経済は第一次石油ショックと米ドルの変動相場制移行などで、大きな曲がり角に差し掛かった。1972年にローマクラブから発表された「成長の限界」は、人類が危機的な状況に陥るのを避けるには人口と経済のゼロ成長が必要との警告を発したが、結果的には杞憂(きゆう)に終わった。先進国に物質的豊かさが行き渡り、新興国も着実にキャッチアップが進む21世紀の成長の限界は、物量ではなく質的な人間の欲求を格差なく充足できるかどうかにかかっている。

国連は、2030年をターゲットに一人として置き去りにしないSDGsを採択し、その動きは民間にも浸透しつつある。温暖化対策では、2050年までに温室効果ガス80%削減というCOP21パリ協定がある。われわれは、2070年の「100億人・100歳時代」までに、豊かで持続可能な社会を実現するための地球・人類の課題を洗い直す。同時に、人口減少・超高齢化社会という日本が世界で最初に直面する課題への解決策、「50年の計」を示し、その実現にも寄与することを、令和の当社のテーマとしたい。
[図]50周年記念研究の全体像

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