マンスリーレビュー

2020年4月号トピックス2ヘルスケア・ウェルネス

信頼性・利便性の高い「病院選び」ができる時代へ

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2020.4.1

社会ICTソリューション本部岡田 健吾

ヘルスケア・ウェルネス

POINT

  • 現行の「医療情報ネット」はユーザーの利便性や認知度が低い。
  • システム刷新により、UI/UXの実装やデータの一元化が進む。
  • 民間企業でのデータ活用により、新サービス創出などにも貢献大。
病院にかかりたい、でも“あて”がない—。こんな時、使い慣れた検索サイトに「場所+病名」などと入れて、調べる人は多いだろう。しかし、掲載されている情報がアップデートされておらず、適切な医療機関や薬局を見つけられなかった経験があるかもしれない。

厚生労働省は2007年、住民・患者による病院の適切な選択を支援することを目的に「医療機能情報提供制度(医療情報ネット)」を導入した※1。医療機関は、診療科目や診察時間、セカンドオピニオン対応、院内感染対策など各種項目(医療機能情報)を都道府県知事へ報告することが義務付けられ、その情報は、インターネット上で公表されている。しかし、ポータルページより下の階層は、各都道府県が個々に構築を担っていて、UI/UX※2もさまざまであり、必ずしも「使い勝手が良い」というレベルには至っていない。さらに、2017年の調査※3によると医療情報ネットを「知っている」と答えた人は約1割にとどまっており、認知度が低いことも課題である。

現在厚生労働省では、上記の医療情報ネットを見直し、全国統一的な検索サイトを検討中だ。これにより、都道府県ごとに異なるUI/UXが統一され、データの一元管理も可能となる。新医療情報ネットでは、管理するデータを民間企業でも活用できるよう、API※4の整備を提案したい。そうすれば企業は医療機能情報を容易に取得したり、自社サービスへ信頼性の高い情報を付加できるようになる(図)。さらには、医療機関向けサービス・事業を展開する企業だけでなく他業種、例えば地図データや不動産を扱う企業などが医療機能情報と位置情報を組み合わせることなどで、新たなビジネスが生まれるかもしれない。

住民・患者などユーザー側にも恩恵がある。日常的に使用しているサービスやスマホのアプリなどから医療機能情報が閲覧できるようになれば、病院検索・選定の利便性は格段に向上するだろう。新医療情報ネットが、ICT時代に信頼性の高い情報を提供するシステムとなるよう期待したい。

※1:薬局に関しても薬局機能情報提供制度が導入されており、同様の検討をしている。

※2:ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス。

※3:「医療情報の適切な評価・提供及び公表等の推進に関する研究」(2017年)。

※4:Application Programming Interface。プログラム(ソフトウエア)から機能やデータなどを利用するために定めた仕様やインターフェース。

[図]API整備を通じたデータ利活用のイメージ

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