マンスリーレビュー

2021年12月号トピックス1経済・社会・技術スマートシティ・モビリティ

ドバイ万博から大阪・関西万博に向けて

2021.12.1

西日本営業本部今村 治世

経済・社会・技術

POINT

  • 10月開幕のドバイ万博は大阪・関西万博の重要な試金石。
  • いつの時代も万博の価値は驚きにある。
  • 大阪・関西万博は、人と人の繋がりで新たな驚きを生む「万人博」へ。

ドバイ万博と大阪・関西万博の共通点

2021年10月1日にドバイ万博が開幕した。中東での開催は初めてで、190カ国超が参加している。当社のドバイ支店によると、サウジアラビア館や日本館の人気が高い。

ドバイ万博は、コロナ禍において大規模集客を伴う国際イベントであるとともに、大阪・関西万博への重要な試金石でもある。ドバイ万博日本館は「Where ideas meet」をテーマにしている。多様な出会いから生まれたアイデアが混じり合うことで、未来がより良い方向に変わりゆく姿を、最新の映像表現や空間演出で体感できる。

他方、大阪・関西万博は「People’s Living Lab(PLL)※1」をコンセプトとする。開幕前から1人ひとりの知恵を持ち寄り、共に万博をつくり上げていく意味が込められたオリジナルワードである。

ドバイ万博日本館も大阪・関西万博も、主催者側が一方的な答えを示すのではなく、1人ひとりの知恵やアイデアから答えが導き出されるという考えが、設計の根底にある。

驚きこそが万博の価値

日本が初めて正式に参加した1867年パリ万博では西洋の巨大な機械や華やかな文化が、1970年大阪万博では革新的な新技術が驚きを誘い、その後の日本で新しい活動が生まれる契機となった。

ドバイ万博で感じる驚きは、日本館に代表される最新の映像技術や演出などであろう。それでは2025年の大阪・関西万博で人々を驚かせるものは何であろうか。

「繋がり」から生まれる新たな驚き

1つのアイデアがアクションに繋がり、実際に問題を解決するに至ったとき、人は満足を覚える。さらに近年は、コロナ禍がもたらしたコミュニケーションのオンライン化に伴い、生活・文化スタイルや働き方が激変している。そうした中で、社会課題の解決に向けて、国境を越えた人と人の新しい繋がりも生まれ、広がり始めている。

大阪・関西万博の来場予想は約2,800万人だが、当社は全世界の人口80億人を結びつけられると見ている※2。こうした繋がりの中で、参加者1人ひとりの小さなアイデアが積み重なって、多彩なアクションに結びつき、医療や環境など数多くの社会課題を解決する大きな流れが生み出される姿に、人々は感動を覚えることになろう。

万国博から万人博へ

国と国、企業と企業が分断されているからこそ競争が起こる。旧来型の「万国博」はある種、そうした競争をお披露目する機会でもあった。一方、人と人が境界を越えて繋がる価値が見いだされている現代に必要なのは、人と人の共創を原動力とする「万人博」である。

従来はありえなかったアイデアとアイデアとの出会いによって新たなアクションが生まれれば、人々の心に大きな驚きと感動が刻まれるはずだ。

当社もその一助になるべく、さまざまな共創事業を紡いでいきたい。

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