無線通信における第5世代(5G)の次の規格が2030年ごろ商用化される見込みである。5Gの先という意味でBeyond 5Gと称されることが多い。次世代デジタルでの覇権争いをにらみ、先進諸国がBeyond 5G研究開発投資を加速している。日本でも総務省が2020年6月に「Beyond 5G推進戦略」をとりまとめるなど、関心が高まっている。
過去を振り返ると、無線通信の規格はおよそ10年ごとに世代交代し、20年ごとに大きな社会変革をもたらしてきた。1990~2000年代の2G・3Gは文字どおり「電話を携帯する」ことを可能とし、人々のコミュニケーションを抜本的に変革した。2010~2020年代の4G・5Gではスマートフォンを利用したモバイルブロードバンドが普及し、個人の生活の隅々まで無線通信とデジタルサービスが浸透することとなった。
これがBeyond 5Gではどう変わるのか。これまで通信の主役が音声からテキスト、映像へと変化しても、その受け手が人間であることに変わりはなかった。通信はおおむね人間の処理能力の枠内で進化してきたといえる※1。
Beyond 5Gの最大の特徴は、高度化した通信がAIやロボティクスと有機的に連携する点にある。すなわち、AIやロボット、センサーが通信の主体となるのである。人間の能力の制約を受けなくなることで、文字どおり桁違いの高度通信機能が実現することになる。ここに画期的なブレークスルーが発生する。
総務省の推進戦略では、Beyond 5Gの速度目標を5Gの10倍から100倍に設定している。「スマホの通信が速くなる」だけではない。超高速通信はAIによる圧倒的な大容量データ処理につながるし、情報伝達の遅延が大幅に抑えられればロボットや移動車両の超精密制御が可能になる。これは、社会がAIやロボティクスを本格活用する環境が整うことを意味している。
Beyond 5Gで新規に期待される機能としては、自律性、拡張性、超安全・信頼性、超低消費電力がある。当社ではさらに応用機能として、
過去を振り返ると、無線通信の規格はおよそ10年ごとに世代交代し、20年ごとに大きな社会変革をもたらしてきた。1990~2000年代の2G・3Gは文字どおり「電話を携帯する」ことを可能とし、人々のコミュニケーションを抜本的に変革した。2010~2020年代の4G・5Gではスマートフォンを利用したモバイルブロードバンドが普及し、個人の生活の隅々まで無線通信とデジタルサービスが浸透することとなった。
これがBeyond 5Gではどう変わるのか。これまで通信の主役が音声からテキスト、映像へと変化しても、その受け手が人間であることに変わりはなかった。通信はおおむね人間の処理能力の枠内で進化してきたといえる※1。
Beyond 5Gの最大の特徴は、高度化した通信がAIやロボティクスと有機的に連携する点にある。すなわち、AIやロボット、センサーが通信の主体となるのである。人間の能力の制約を受けなくなることで、文字どおり桁違いの高度通信機能が実現することになる。ここに画期的なブレークスルーが発生する。
総務省の推進戦略では、Beyond 5Gの速度目標を5Gの10倍から100倍に設定している。「スマホの通信が速くなる」だけではない。超高速通信はAIによる圧倒的な大容量データ処理につながるし、情報伝達の遅延が大幅に抑えられればロボットや移動車両の超精密制御が可能になる。これは、社会がAIやロボティクスを本格活用する環境が整うことを意味している。
Beyond 5Gで新規に期待される機能としては、自律性、拡張性、超安全・信頼性、超低消費電力がある。当社ではさらに応用機能として、
- インターフェース革新(高度XR※2や脳情報通信)
- テレアクション(空間と時間を超越した活動)
- 人間拡張(頭脳や肉体機能の大幅な拡張)
- データ基盤(安全で便利なデータ管理)
- デジタルツイン(人や社会のデジタル投影)
- 超最適化(個人データによる高度カスタマイズ)
[図1] Beyond 5Gの特徴となる機能