1979年に発刊された『ジャパン・アズ・ナンバーワン』は、敗戦から再興した日本が国際社会に対して自信をもつ大きな契機となった。同書では、日本の成功は「日本独特の組織力、政策、計画によって意図的にもたらされたもの」と論じている。さらに、これらの優位性により、次の10年まで、その制度を変えることなく発展していける力を日本は有しているとした。
この予測は当たり、1990年代初頭のバブル崩壊まで日本は経済・産業的に「ナンバーワン」の国であった。しかし、その後日本は長いトンネルに入ったまま、「失われた30年」が過ぎた。同書が日本の優位性とした均一性、集団主義、中央指導型の社会の仕組みと、高度成長期から変容した価値観との間で不整合が生じているのだ。
電通総研と同志社大学により、2019年9月に日本でのアンケート調査が行われた第7回「世界価値観調査(WVS:World Values Survey)」では、価値観の観点から『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の時代と現代の日本との対比を興味深く見ることができる。
特に、余暇と安全を重視し国家の権威を嫌う傾向、職場以外の団体・組織に属している割合や親の介護に対する義務感の低さは、内向きで個人の心地よさを重視した現代社会の特徴を示している。過去の日本の成功体験であるトップダウンによる社会実装は、機能しにくい時代といえるのではないか。
この予測は当たり、1990年代初頭のバブル崩壊まで日本は経済・産業的に「ナンバーワン」の国であった。しかし、その後日本は長いトンネルに入ったまま、「失われた30年」が過ぎた。同書が日本の優位性とした均一性、集団主義、中央指導型の社会の仕組みと、高度成長期から変容した価値観との間で不整合が生じているのだ。
電通総研と同志社大学により、2019年9月に日本でのアンケート調査が行われた第7回「世界価値観調査(WVS:World Values Survey)」では、価値観の観点から『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の時代と現代の日本との対比を興味深く見ることができる。
特に、余暇と安全を重視し国家の権威を嫌う傾向、職場以外の団体・組織に属している割合や親の介護に対する義務感の低さは、内向きで個人の心地よさを重視した現代社会の特徴を示している。過去の日本の成功体験であるトップダウンによる社会実装は、機能しにくい時代といえるのではないか。