東日本大震災から10年となる2021年3月、当社は「来る巨大災害に対して加速すべき防災の改革」として※2、①優先度を明確化した防災政策の集中展開、②先端的防災社会の構築、③パーソナル防災の実現、を提言した。
それから1年、日本を含む各国にて、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、さまざまな自然災害が頻発している。国内に目を向けても、2021年7月の静岡県・神奈川県を中心とした集中豪雨、同8月の西日本地域の集中豪雨にて多くの被害が発生した。幸いにも大きな被害は生じていないが、マグニチュード5以上の地震も後を絶たない。
古くは寺田寅彦の警句「天災は忘れた頃にやってくる」、最近では災害の度に「予想外の時期、あるいは場所で、想定外の被害に見舞われた」といわれるなど、自然災害は日常とは非連続の別フェーズで生じる特別なものとの意識が高い。また、災害への備えには長期的な目線での対応が必要となる。集中力を切らさずに、自分事として捉え続けることは至難の業といえるだろう。
しかしながら、南海トラフ地震は今後30年での発生確率が70〜80%(40年では90%)、首都直下地震は同70%程度とされている。2021年12月に新たに被害想定が公表された、日本海溝・千島海溝地震も同30~40%である。気候変動についても、COP26で国際合意した1.5℃目標が達成された場合でも、50年に1度という高温の頻度は全世界において8.6倍に、10年に1度という大雨も同様に1.5倍となることがIPCC※3から示されている。さらに2℃上昇の場合、国内では洪水頻度が約2倍となる※4と推計されている(図1)。
現代社会において自然災害は決して予想外、想定外の特殊な事象ではなく、私たちの日常生活に包含されている。これからの日本の未来社会を考える上では、巨大災害が起きないことを前提とすることはできないのである。
それから1年、日本を含む各国にて、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、さまざまな自然災害が頻発している。国内に目を向けても、2021年7月の静岡県・神奈川県を中心とした集中豪雨、同8月の西日本地域の集中豪雨にて多くの被害が発生した。幸いにも大きな被害は生じていないが、マグニチュード5以上の地震も後を絶たない。
古くは寺田寅彦の警句「天災は忘れた頃にやってくる」、最近では災害の度に「予想外の時期、あるいは場所で、想定外の被害に見舞われた」といわれるなど、自然災害は日常とは非連続の別フェーズで生じる特別なものとの意識が高い。また、災害への備えには長期的な目線での対応が必要となる。集中力を切らさずに、自分事として捉え続けることは至難の業といえるだろう。
しかしながら、南海トラフ地震は今後30年での発生確率が70〜80%(40年では90%)、首都直下地震は同70%程度とされている。2021年12月に新たに被害想定が公表された、日本海溝・千島海溝地震も同30~40%である。気候変動についても、COP26で国際合意した1.5℃目標が達成された場合でも、50年に1度という高温の頻度は全世界において8.6倍に、10年に1度という大雨も同様に1.5倍となることがIPCC※3から示されている。さらに2℃上昇の場合、国内では洪水頻度が約2倍となる※4と推計されている(図1)。
現代社会において自然災害は決して予想外、想定外の特殊な事象ではなく、私たちの日常生活に包含されている。これからの日本の未来社会を考える上では、巨大災害が起きないことを前提とすることはできないのである。
[図1] 中長期的な自然災害リスク