マンスリーレビュー

2022年12月号トピックス2経済・社会・技術

シンクタンクが挑むベンチャー連携

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2022.12.1

未来共創本部八巻 心太郎

経済・社会・技術

POINT

  • 「社会課題解決」起点の共創活動支援プログラムが8回を迎えた。
  • 社会課題と向き合うベンチャーは増加傾向。新事業も誕生。
  • シンクタンクの強みを活かしエコシステムに参画。

ベンチャーの底力が日本を救う

「オープンイノベーション」という言葉が認知されて久しい。近年ではベンチャー支援・連携も活発化。専門性と技術力を兼ね備え、柔軟でスピード感あふれるベンチャーのポテンシャルをいかに活用すべきかが今まさに問われている。

社会課題の解決には、多様なアイデアや複数の技術、ソリューションの活用が大切だ。当社はベンチャーを中心に大企業、自治体など540以上の企業・団体が会員として参加するネットワーク「未来共創イニシアチブ(ICF)※1」を5年前に構築。事務局として多様な活動を続けてきた。

その一環が社会課題の解決策をベンチャーと共創して取り組む「ビジネスアクセラレーションプログラム(BAP)※2」である。多くのベンチャー支援は自社事業への連接や投資が目的だが、当社が考えるゴールは社会課題の解決にある。今年度で8回目を迎えるBAPへの応募総数は年々増加傾向にあり、147件に達した。いずれも、社会課題解決起点のコンセプトに共感してくれている。制約にとらわれずにイノベーション創出の思考・行動を共にする共創パートナーを求める場として相乗効果を生んでいる。

産前産後のメンタルサポートの新ビジネスも

ICF活動の一環であるワークショップ、アイディエーションの成果として、母親・父親の産前産後のメンタルヘルス改善を目的とした「夫婦の明るい子育て応援サービス」が2022年2月に始動した。ICF会員である住友生命を中心に、ベンチャー会員のユカイ工学、モシーモの両社が参画した。両社はそれぞれ、コミュニケーションロボット「BOCCO emo」、子育て支援サービス「tomoiku」のAIチャットボット機能を提供。専門家との「共育環境」による円滑な家庭内コミュニケーションをサポートする。

夫婦の明るい子育て応援サービスは、当社もICF活動の一環として支援を続けてきた。社会課題と向き合う共創パートナーと連携する道をこれからも探求していく。

シンクタンクの新たな挑戦が始まる

シンクタンクがベンチャー連携をする意義は、社会課題の解決策を有するベンチャーを発掘した後、社会全体の便益を考慮し、最終的にバリューアップすることである。当社は社会的インパクト評価に基づく投資に着目しつつ、事業化に向け知見やネットワークを提供して、インパクト戦略を描くベンチャーとの連携を加速させる。ベンチャーエコシステムに参画し発展させることを目指す。国・自治体との連携も強化し、政策提言や概念実証(PoC)につなげていく。

2023年3月にDEMODAY(共創事業成果発表)を開催し、BAPを起点とした協業状況、ベンチャー連携のスタンス・取り組みなど、社会課題を解決する共創活動も内外に周知する。シンクタンクとしての使命感をもちながら、新たな取り組みにチャレンジする姿をご覧いただきたい。

※1:マルチステークホルダーの参加するオープンイノベーションおよび共創活動を通じて、社会課題を解決・実装し、コレクティブインパクト創出に貢献することが目的。https://icf.mri.co.jp/about/

※2:バックキャスティングで「望まれる未来のために何をすればよいのか」を考え、行動をおこすことを目的に提案を募集。