モノの「見える化」が進められている分野の一つは、インフラ等の構造物の点検・メンテナンス分野である(図4)。富士電機はMEMS(微小電気機械システム)技術を採用した新たな感振センサーを開発している。従来の振動感知装置では難しかった、水平2方向と垂直方向の計3軸で揺れを感知できることが同センサーの特長だ。ビル・建物、橋梁、トンネル等の構造物で発生する振動測定への用途拡大を想定している。例えば、センサーで収集した振動を診断サーバーに送り解析することにより、表面の損傷、構造内部の不具合など構造物の状態変化を検出。地震発生後には構造物がどの程度変形したかを診断できるとしている。
センサー部分を光ファイバーやガラス部品で構成することで電源無しで動作する光ファイバーセンサーや、カメラ等を搭載したロボットなどの開発も進んでおり、人が入りにくく監視が困難な場所への活用が期待されている。
図表2-1 各国政府によるEV・シェアリング・自動走行・MaaSに関わる取り組み
富士電機 |
MEMS(微小電気機械システム)技術を採用した新たな感振センサーを開発。水平2方向と垂直方向の計3軸で揺れを感知する同センサーを活用し、構造物で発生する振動測定への用途拡大を目指す。 |
NTTデータ |
橋梁に光ファイバーセンサ等を取り付け、異常検出や経年劣化予測、保守計画の策定などに活用。 東京ゲートブリッジに設置したセンサー48個で、一秒あたり約2800程度のデータを測定。 |
NEC/日本下水道事業団 |
下水道管のひびや崩落を診断する自走式ロボットを開発。千葉県船橋市の下水道で実証実験を実施。 |
三井造船 |
水道管内部の状況を検査する水中ロボットを開発。これまで人が入れなかった水道管の腐食状況などを確認できるほか、断水せずに検査できる。 |