研究開発から半世紀以上、いつになったら走るのかと思っていたリニア中央新幹線(リニアモーターカー)は、2027年の開業まで残り10年を切った。リニア中央新幹線は、超電導磁気浮上式鉄道と呼ばれ、極低温まで冷却された超電導磁石が生み出す強力な磁力で、車体全体を浮かせて走行する。
超電導とは、特定の金属や化合物が一定温度以下で電気抵抗がゼロになる現象である。未来の技術のように思われる方も多いだろうが、実は原理が発見されてから100年以上経過している。超伝導の原理を応用した製品も医療機器を中心に既に数多く実用化されている。
ただし、実用化されている超電導機器の多くに液体ヘリウム温度(-269℃)で超電導状態(ここでは電気抵抗がゼロ)になる物質が使用されていることから、冷却コストが高いという欠点があった。しかし1986年以降「高温超電導」と呼ばれる、より高い温度(-196℃)で超電導状態になる物質が次々と発見された。これにより冷却コストが小さくなり、電流の損失を大きく抑えられる特徴を生かし、省エネを目的とした電力インフラ機器での利用が拡がりはじめている。
中でも市場規模が大きい超電導ケーブルを使った超電導送電の実現に注目が集まっている。本稿では、近年、注目を集める高温超電導、特に超電導送電の展望について考察する。
超電導とは、特定の金属や化合物が一定温度以下で電気抵抗がゼロになる現象である。未来の技術のように思われる方も多いだろうが、実は原理が発見されてから100年以上経過している。超伝導の原理を応用した製品も医療機器を中心に既に数多く実用化されている。
ただし、実用化されている超電導機器の多くに液体ヘリウム温度(-269℃)で超電導状態(ここでは電気抵抗がゼロ)になる物質が使用されていることから、冷却コストが高いという欠点があった。しかし1986年以降「高温超電導」と呼ばれる、より高い温度(-196℃)で超電導状態になる物質が次々と発見された。これにより冷却コストが小さくなり、電流の損失を大きく抑えられる特徴を生かし、省エネを目的とした電力インフラ機器での利用が拡がりはじめている。
中でも市場規模が大きい超電導ケーブルを使った超電導送電の実現に注目が集まっている。本稿では、近年、注目を集める高温超電導、特に超電導送電の展望について考察する。