経済発展を遂げた多くの国の例に漏れず、今後ベトナムも高齢化社会を迎えることになる。2020年時点での高齢化率は7.9%で比較的低水準にあるが、2040年時点では16.3%に達する予測となっている※1。これは日本が介護保険制度を導入した2000年の高齢化率とほぼ同水準であり、高齢化社会到来の時期といえる。
こうした状況を踏まえ、ベトナム政府は対策に乗り出している。2015年には「非感染症の予防と管理に関する国家戦略 2015-2025」(首相決定 No.376/QĐ-TTg)が公布され、コミュニティにおける予防活動強化に焦点を当てつつ、政府による健康増進のリーダーシップと各部門の連携強化を目指す対策が盛り込まれた。
また、2018年には全国キャンペーンである「ベトナムの健康」(首相決定No.1092/QĐ-TTg)を発表し、健康状態の改善、平均寿命の延伸、QOLの向上に向けた取り組みを開始している。この取り組みでは「運動」「タバコやアルコールによる健康被害の予防」「非感染性疾患に対する早期発見・管理」など10の優先事項が示されている。2030年までの目標としては「18歳から69歳までのうち、運動に取り組む人の割合を20%増加させる」「男性の喫煙率および飲酒率をそれぞれ32.5%、35%減少させる」「全てのCommune Health Centerで高齢者に対して主要な非感染性疾患の予防・管理・治療を行う」といった具体的な項目が定められている。