マンスリーレビュー

2017年2月号トピックス1スマートシティ・モビリティヘルスケア

スタジアム・アリーナ改革でスポーツ産業を活性化

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2017.2.1

ヘルスケア・ウェルネス事業本部横田 匡俊

スマートシティ・モビリティ

POINT

  • スポーツ市場の拡大のため、国が「スタジアム・アリーナ改革」を推進中。
  • 改革で重要なのは「観戦者の視点」に立った魅力的な施設の整備。
  • 先進技術と施設の複合化で持続可能な運営とスポーツ産業の活性化を実現。
スポーツ庁と経済産業省は、スポーツ産業の活性化に向けて「スポーツ未来開拓会議」を立ち上げ、5.5兆円(2012年)のスポーツ市場を2025年に15.2兆円に拡大することを目指すとした(表)。その実現に向けた柱の一つが、「スタジアム・アリーナ改革」である。日本のスポーツ施設は、赤字経営の施設が多く、コストセンター化している。この認識のもと、スタジアムやアリーナをスポーツ産業活性化の核となるインフラとして、収益性および観戦者の視点から改革を図るものである。

収益性の視点からは、「多様な活用」がポイントとなる。黒字経営を実現しているスポーツ施設は、スポーツ以外に、音楽コンサート、展示会などさまざまなイベントを誘致し、収益性を高めている。最近のアリーナの整備計画では、ステージ設営のための大型トラック搬入路を確保するなど、多様な主催者の利便性に配慮し、需要の取り込みを企図するものもある。

さらに重要となるのは、「観戦者の視点」である。収益性が高まっても、スポーツ施設で四六時中音楽コンサートが開催されていては、本末転倒だ。スポーツを観戦する人々にとって魅力的な施設整備を行うことで、スポーツ観戦のコンテンツとしての価値が高まり、ひいてはそれが施設の収益性向上にもつながる。

例えば、観戦中に手元のスマートフォンで飲み物を注文したり、気になった場面のリプレイをいつでも専門家の解説つきで見たり、自分が好きな選手だけを追いかけるカメラの映像を映すことができたらどうだろう。また、スタジアムと映画館やレストランの複合施設に家族で出掛け、おのおのスポーツや映画を楽しんだ後に、レストランに集合して食事をするような楽しみ方ができたらどうだろうか。

先進技術の活用や施設の複合化により、スポーツ施設が新たな観戦スタイル、試合前後を含む新たな楽しみ方を提供できれば、集客力が高まり、持続可能な運営が実現する。それによりスポーツ産業の活性化を加速できるだろう。
[表]日本のスポーツ市場規模の拡大について【試算】

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