特定警戒都道府県における県間移動はGW中一部増加
三菱総合研究所が行ったゴールデンウィーク(GW)期間中の県間移動の分析によると、GW前の休日と比較し、期間中の全国での移動は全般的には抑えられたものの、特定警戒都道府県における県間移動は、関東圏では10%程度増加、中部圏および近畿圏ではおおむね横ばい、福岡県及び北海道が減少となっていることが分かった。
解除された地域とそれ以外の地域間での移動が増加してしまうと感染拡大再発につながりかねない。県間移動は今後も継続的に注視し、解除地域外との移動は継続的に抑制するなどの対策が必要と考えられる。
以下で、今回の分析内容の詳細を述べる。
大都市圏からの伝搬による感染者数の広がり
厚生労働省が公表した都道府県別感染者数のデータを用いて、3月下旬からGWにかけての感染者の累積を可視化した。全国における感染状況を見ると、三大都市圏(東京都、愛知県、大阪府およびその隣接府県)から伝搬するように感染者数が増加する傾向が見られる。
人流推定データを用いた移動の分析
分析期間は、GW前の土日(2020年4月18日、19日、25日、26日)およびGW中(2020年4月29日~5月6日)である。
全国の分析には、8地方(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州沖縄)を基本とし、ここから沖縄県は分離した区分を用いた。また、感染者数の多い特定警戒都道府県(13都道府県)に着目した分析も行った。移動は、県内移動と県間移動(隣接県間移動とそれ以外の長距離移動)に分類した。なお、隣接県は、国土交通省が用いている「隣接する都道府県※3」の定義である、橋梁およびトンネルでの隣接を含む地続きの隣接都道府県を用いた。
GW前の休日と比較し県内移動は横ばい、県間移動はおおむね減少
県内移動は、いずれの地方もGW前の休日と比較して横ばいもしくは微増であった。一方、県間移動は、関東が10%程度の増加、中部および近畿がおおむね横ばいであり、それ以外の地方では減少していた。全国でみれば、県内移動はおおむねGW前の状況を継続し、県間移動は関東、中部および近畿を除いて減少したと言える。なお、全国の移動数全体に占める県間移動の割合は4%であり、県内移動が96%を占める。