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2017年4月号トピックス5経済・社会・研究開発

労働時間短縮は生活経済活性化のチャンス

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2017.4.1

政策・経済研究センター木根原 良樹

経済・社会・研究開発

POINT

  • 労働時間短縮の流れに伴い、個人が自由に使える時間が増える。
  • 副業・兼業、学び直し、ボランティア、複数拠点活動も時間の使い道の選択肢。
  • こうした能力開発や社会参加の活動は個人生活にも企業経済にもメリット。
現在、政府は「働き方改革」の一環として企業の残業時間に法的な上限を設ける方向で調整を進めている。例えば、日本電産が2020年までに残業ゼロを達成すると宣言し、味の素がこの4月から所定労働時間を20分短縮するなど、大企業による具体的な取り組みも見られる。厚生労働省の統計によれば、2015年の年間実労働時間数は1,784時間と、この25年間で約13%も短くなった。日本人の労働時間が短くなる流れは今後も続くであろう。

労働時間が短くなれば、個人が自由に使える時間が増える。その時間の使い道としては、「家族と一緒に過ごす」「育児や家事を分担する」など、仕事と家庭の両立を図ることはもちろん、自らの能力開発や社会参加の活動も選択肢となる。

当社で3,000人を対象に、時間の使い道についてアンケート調査を行った(図)。その結果、①正業の他に副業・兼業、②働きながらの学び直し、③本格的なボランティア、④都市と地方の複数拠点で活動の四つに対して、現在実行している人は、全体の2~9%とまだ少数だが、将来実行したいと考えている人は16~29%と、相当数いることが判明した。

こうした潜在ニーズを後押しする政府や企業の動きもある。厚生労働省は「モデル就業規則」で副業・兼業を原則容認する方向へ転換することを検討、また文部科学省が「職業実践力育成プログラム」を発足した。経団連が会員企業を対象に行った調査では、半数がすでにボランティア休暇制度を導入している。また、国土交通省は「二地域居住」推進を図っている。

個人が能力開発や社会参加の活動に時間を費やすことは、自身にとっての生活活力になるだけでなく、企業にとっても活力の源泉になる。従業員の能力や意識の向上は業務改善をもたらす。そして、雇用の流動化を促し、人材の適材適所を進める。企業は労働時間の短縮をプラスの機会と捉え、個人活動を積極的に認めることが、事業成長につながるのである。
[図]時間の使い道の実態と希望

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