消費市場で存在感を増す「働く女性」
総務省の統計によれば、2015年の労働力人口は、2011年と比べ男性が66万人減ったのに対し、女性は74万人増えた。国税庁の調査でも、女性の所得シェアは1990年の21%から2015年の27%へと高まっている。また、夫婦世帯においては「商品の購入決定権が自分にある」とする割合は妻の方が夫より高い※1。年収にかかわらず、男性より女性の消費性向(消費支出/可処分所得)が高いことも、総務省調査から明らかである。働く女性の増加で消費市場における女性の存在感が高まりを見せている。
ライフコースの多様化が進む
かつては多くの女性が、学校を卒業後、就職し、結婚や出産を機に家庭に入り専業主婦になるというライフコースを歩んだ。しかし今日は、就業を続ける女性や一度退職しても復職する女性が増えてきた。未婚化・晩婚化も進み、「生涯シングル」、あるいは子供をもたない「生涯DINKS」という選択も増えている。例えば1971年から1974年までに生まれた団塊ジュニア世代の女性を見てみよう。2015年時点で41~44歳となった彼女らの38%は専業主婦だが、結婚をしていないワーキングシングルが21%、子供をもたないDINKSが8%、働きながら子育てを続けるワーキングマザーが15%とライフコースの多様化が進む。
ライフコースが変化すると、生活が変わり消費も変わる。例えばライフコースによって消費行動を規定する二つの生活資源(①経済的資源、②時間的資源)の質と量が大きく異なる。図1は時間的資源と経済的資源の2011年から2015年までの推移をライフコース別に捉えたものだ。時間的資源とは時間的ゆとりが「かなりある」「ある程度ある」と回答した人の合計である。同じく経済的資源は、経済的ゆとりが「かなりある」「ある程度ある」と回答した人の合計である。これを見るとライフコースによって各資源の保有状況はまったく異なり、しかもその格差は5年間で広がろうとしている。ワーキングシングルは正規雇用、非正規雇用ともに時間的ゆとりが低下した。非正規雇用は経済的ゆとりも下げており、正規雇用との差が広がる。ワーキングマザー(正規)の時間的ゆとりは専業主婦の半分程度である。しかし彼女たちの経済的ゆとりは高く、しかも専業主婦やワーキングマザー(非正規)との差が広がる。また、DINKS(正規)は時間的ゆとり、経済的ゆとりともに大きく高めた点が注目される。
このように、働く女性が増加する中で、女性市場は、単に年代や世代による分析だけでなくライフコース視点でのマーケティングが必須になってきた。
ライフコースが変化すると、生活が変わり消費も変わる。例えばライフコースによって消費行動を規定する二つの生活資源(①経済的資源、②時間的資源)の質と量が大きく異なる。図1は時間的資源と経済的資源の2011年から2015年までの推移をライフコース別に捉えたものだ。時間的資源とは時間的ゆとりが「かなりある」「ある程度ある」と回答した人の合計である。同じく経済的資源は、経済的ゆとりが「かなりある」「ある程度ある」と回答した人の合計である。これを見るとライフコースによって各資源の保有状況はまったく異なり、しかもその格差は5年間で広がろうとしている。ワーキングシングルは正規雇用、非正規雇用ともに時間的ゆとりが低下した。非正規雇用は経済的ゆとりも下げており、正規雇用との差が広がる。ワーキングマザー(正規)の時間的ゆとりは専業主婦の半分程度である。しかし彼女たちの経済的ゆとりは高く、しかも専業主婦やワーキングマザー(非正規)との差が広がる。また、DINKS(正規)は時間的ゆとり、経済的ゆとりともに大きく高めた点が注目される。
このように、働く女性が増加する中で、女性市場は、単に年代や世代による分析だけでなくライフコース視点でのマーケティングが必須になってきた。