マンスリーレビュー

2017年4月号

MRIマンスリーレビュー2017年4月号

巻頭言|ルールチェンジでも変わらないこと

代表取締役社長 森崎 孝
あらゆるゲームにはルールが存在する。ルールいかんでゲームが面白くもつまらなくもなる。またルールの変更により全く異なったゲームになってしまうこともある。スポーツでは楽しさや面白さ以外に商業的な理由からルールを変更したものや、何がルーツであったか分からないほど変容を遂げたものも多い。

日本人はルールを遵守することにはたけているものの、スキージャンプ競技の板の長さに関するルール変更、柔道でのポイント制導入の例を挙げるまでもなく、ルールそのものを作ることはあまり得意でないといわれている。「せっかく既存のルールを克服したと思ったら、また新しいルールが導入された」といった恨み節を聞くことも多い。

昨年、英国では欧州連合単一市場からの離脱が決まり、米国ではトランプ新大統領による米国第一主義が打ち出され、既存のルールに基づく秩序が大きく変わろうとしている。その影響は、一国の政治・経済にとどまらず、地球上のさまざまな地域に及ぶことは間違いない。今年も同様に世界各地で主要なイベントが目白押しで、その結果次第ではさらなるルールチェンジが引き起こされる可能性もある。

このような中、課題先進国であるわが国では、経団連で打ち出された「Society5.0実現による日本再興」にもあるように、革新的技術と産学官連携によるオープンイノベーションを活用して社会課題を解決しようとの取り組みが始まっている。そして、その先にはすべての人が豊かで持続的に成長できる未来社会の共創を見据えている。

今後どのようなルールチェンジがなされるかは定かではないが、未来共創というゴールだけは変えてはならない。未来共創は、「おもてなし」を初め新たな価値を生み出してきた日本人こそが世界に先駆けて取り組むべきものであろう。
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