現在の医療は病状を薬によって抑える対症療法が中心である。根治療法の一つとして、他者から健康な臓器提供を受ける臓器移植が実現されているが、ドナー不足や免疫拒絶などの問題から、治療を必要とする全ての患者に届けられていないのが実情である。こうした中、ノーベル賞を受賞した山中伸弥教授のiPS細胞をきっかけに注目を浴びているのが「再生医療」である。従来の医療とはまったく異なるアプローチによる根治療法であり、闘病生活の大幅な短縮、難病からの回復など、これまでの医療の概念を大きく変える可能性を秘めている。
再生医療は、皮膚や血管などの組織や心臓、すい臓などの臓器を細胞レベルから再生することで、元の状態に復活させる。心筋梗塞や糖尿病などの生活習慣病を患い機能不全に陥った臓器を正常な状態に戻すことができる。
例えば、糖尿病患者への活用は効果が大きいだろう。日本で糖尿病が強く疑われる患者は推計1,000万人、予備軍を含めると2,000万人に及ぶ(2017年公表)。糖尿病は一度発症すると治癒することはなく、病気の進行に伴って合併症(腎症、網膜症、末梢神経障害など)を発症し、脳や心臓の疾患リスクを高める。腎不全を発症した重度の糖尿病患者になると、1回4時間の人工透析が週3回必要となり、食事や生活の制限により不自由を強いられる。腎不全の医療費は1人あたり年間500万円以上で、国民医療費全体(約40兆円)のうち約1.4兆円が費やされている。
再生医療は、こうした疾患に苦しむ人を世の中から減らし、その結果、国民医療費の負担を大幅に削減する。現代の医療が抱える課題を抜本的に解決する方法であり、世界中の人々がその実現に大きな期待を寄せている。
再生医療は、皮膚や血管などの組織や心臓、すい臓などの臓器を細胞レベルから再生することで、元の状態に復活させる。心筋梗塞や糖尿病などの生活習慣病を患い機能不全に陥った臓器を正常な状態に戻すことができる。
例えば、糖尿病患者への活用は効果が大きいだろう。日本で糖尿病が強く疑われる患者は推計1,000万人、予備軍を含めると2,000万人に及ぶ(2017年公表)。糖尿病は一度発症すると治癒することはなく、病気の進行に伴って合併症(腎症、網膜症、末梢神経障害など)を発症し、脳や心臓の疾患リスクを高める。腎不全を発症した重度の糖尿病患者になると、1回4時間の人工透析が週3回必要となり、食事や生活の制限により不自由を強いられる。腎不全の医療費は1人あたり年間500万円以上で、国民医療費全体(約40兆円)のうち約1.4兆円が費やされている。
再生医療は、こうした疾患に苦しむ人を世の中から減らし、その結果、国民医療費の負担を大幅に削減する。現代の医療が抱える課題を抜本的に解決する方法であり、世界中の人々がその実現に大きな期待を寄せている。