マンスリーレビュー

2018年7月号トピックス2次世代インフラ

国際化が進む社会インフラの品質を問う

同じ月のマンスリーレビュー

タグから探す

2018.7.1

次世代インフラ事業本部美濃 良輔

次世代インフラ

POINT

  • 社会インフラに関わる企業は世界を相手に競争する時代。
  • システム全体の品質をマネジメントする規格の活用が必須に。
  • 国内市場中心の企業も国際規格を意識したものづくり対策を。
エネルギー、交通、上下水道など社会インフラの海外市場が新興国を中心として急速に拡大している。国内企業各社は新たな成長市場を目指し官民を挙げてのインフラ輸出に注力、政府は2020年に約30兆円のインフラ受注を目指している(図)。社会インフラは、複数の製品やモジュールを複合したトータルシステムとしての機能が重視されるとともに、システム全体の最適化を図ることが開発・運用を通じて求められており、鉄道、航空などさまざまな分野別の品質マネジメントシステム(QMS)の国際規格が誕生している。

インフラの調達活動がグローバル化する中、個別の製品や部品の優劣とは別に、システムの開発・運用プロセスを考慮した国際標準化を進めることは、激烈な国際競争を勝ち抜く上で重要といえる。WTO(世界貿易機関)のTBT協定(貿易の技術的障害に関する協定)においても、貿易の際には、国内規格より国際規格を優先させることを求めており、国内で多数の導入実績があって高い信頼性を誇る技術だとしても、国際規格に適合していないだけで、世界市場で事業を拡大する機会を逃す可能性は高い。

2017年に、国際規格(ISO/TS 22163)※1が発行された鉄道インフラを見ると、欧州を中心に大手のメーカーや鉄道事業者が取引条件に認証取得を求める動きが本格化している。現時点で世界の約1,600の事業所が認証を取得済みだが、日本では11事業所にとどまる。アジアでの現地主導のプロジェクトでも、WTO協定への批准の有無を背景に、日本メーカーが今後は適合を求められる可能性も否定できない。

QMS規格の本質は、既存のプロセスや活動の不足をレビューし、業務の効率化や改善に結びつけることにあるが、入札条件として海外展開のパスポートの一部になっているという現状がある。海外プロジェクトを積極的に狙う企業において品質マネジメントシステム規格の認証取得は必須であるが、海外ビジネスを視野に入れていない企業や、国内企業の下請けで海外向け製品を製造する企業においても、規格の内容を把握するとともに、自社の業務プロセスの適合状況や差分の内容などを把握しておくことは有益だと考えられる。

※1:鉄道分野の品質マネジメントシステム(RQMS)。鉄道関連組織のためのビジネスマネジメントのシステム要求事項ISO9001:2015をベースに、鉄道分野に適用する際の特別な要求事項を定めている。

[図]インフラシステム受注額*の実績と政府目標

バックナンバー

関連するナレッジ・コラム

もっと見る
閉じる