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2020年9月号トピックス3次世代インフラ

スマートシティのインフラ輸出加速に向けて

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2020.9.1

次世代インフラ事業本部中村 匠

次世代インフラ

POINT

  • 世界的なスマートシティ開発の波に日本企業も乗るべき。
  • スマートシティの国際標準においては日本発のISO規格が策定された。
  • 新基準による全体最適の実現を強みとして高性能インフラ輸出の加速を。
先端技術を駆使して持続可能な未来型都市を整備するスマートシティ事業の世界市場規模は、2025年に1.56兆米ドル(約165兆円)※1に達するとの予測がある。新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、新興諸国を中心に都市インフラのあり方を見直す動きも活発化しているため、市場拡大のペースは上振れる可能性もある。
 
日本企業としてもこの波に乗るべく、スマートシティを構成する交通システム、電力プラント、上下水道、ICTといったインフラの総体である「スマートコミュニティ」の輸出を加速させたいところだ。しかし、日本企業が強みとする高性能インフラを単に束ねただけでは、開発や運用のコストが膨れあがるばかりで、相手国の都市課題の解決につながらない恐れがある。このため、都市インフラの全体最適を念頭とした俯瞰(ふかん)的な視点から、都市開発の目標を踏まえ各インフラを効果的に連携させることが不可欠となる。

国際的なインフラ開発は、ISO(国際標準化機構)などで策定される規格に準拠するのが一般的だ。グローバル化が進む現状で国際的な互換性を高めることで、効率的な開発・運営を可能にするためである。鉄道などの分野では国際規格策定が欧米主導で進められたケースもあり、日本企業は国際基準への適合に多大な手間やコストを強いられてきた。だが、スマートコミュニティに関しては、日本の専門家が中心となって、インフラ間の全体最適を達成するためのISO規格を策定している強みがある。
 
具体的には、インフラ開発と運用に関する共通の枠組みの規格(ISO/TR37152)や、個別・複数のインフラが都市全体の目標に合わせて適切に機能するか検証する規格(ISO 37155-1)、各インフラへの最適な機能の割り当てと、その妥当性を検証する規格(ISO 37155-2、2021年発行予定)などが日本発である。これらのISO規格をベースにすれば、より低コストで効率的かつ高機能なスマートコミュニティの実現を日本勢が主導できる(図)。

全体最適を達成したスマートシティを海外各地に整備できれば、日本のインフラ製品や技術への海外の評価はさらに高まる。輸出加速で日本企業の商機はさらに広がる。

※1:米市場調査・コンサルティング企業フロスト&サリバンによる2019年の推計。市場規模の集計対象はエネルギー、建設、モビリ ティ、ヘルスケアなど8分野のうち5分野以上の整備を計画しているスマートシティとなっている。

[図] スマートシティ開発に関する課題と国際規格

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