コロナ禍は、日本の行政のデジタル化が遅れていることをあらためて浮き彫りにした。例えば、特別定額給付金はオンライン申請が可能だったものの、実際の支給まで時間を要した。2019年にデジタル手続法※1が制定されたほか、政府は「骨太の方針2020」でも行政のデジタル化を一層推進する方針を示している。当社が2020年6月に実施した生活者アンケート※2でも約9割が行政手続きのオンライン申請を「利用したい」と回答した。行政のデジタル化に対する国民の期待は、決してしぼんでいない。
この期待に応えるには、行政手続きをデジタル化するだけでは足りない。現場の実態をきちんと把握した上で、利便性を高めなければならない。特に、国民との直接の接点となる地方自治体業務における「デジタルとリアルの融合」が鍵となる。
自治体の業務には、住民向けサービスやインフラ運用管理など、完全にデジタルシフトができないものも多い。しかし、デジタル技術の活用で、高度化や効率化を目指すことは可能だ。具体的には、所得情報などのデータをもとに困窮している住民を把握できれば、リアルでの生活相談や支援策提案といったプッシュ型の支援につながる。また、ごみ置き場にセンサーを設置して集積度をリアルタイムで把握すれば、収集・運搬ルートを最適化できる。上下水道でも運用管理の効率化や省人化は可能だ。データ活用や手続きのデジタル化により事務負担が軽減されれば、自治体職員は住民とのリアルな相談などに時間を割けるようになり、サービスの質を向上させられる。
自治体によっては、過疎化や財政難のあおりで人材や予算が不足してデジタル化に十分対応できないところもある。このため、全国で共通化できる部分は政府がシステムを開発して展開する方法が考えられる。また、東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイトのように、オープンソースとして他の自治体に仕様を公開すれば、基礎的な部分のデジタル化は実現できる。
行政手続きのオンライン化だけで問題は解決しない。デジタルとリアルを組み合わせた行政全体の変革により住民の生活の質を高めることこそが真のゴールなのである。
この期待に応えるには、行政手続きをデジタル化するだけでは足りない。現場の実態をきちんと把握した上で、利便性を高めなければならない。特に、国民との直接の接点となる地方自治体業務における「デジタルとリアルの融合」が鍵となる。
自治体の業務には、住民向けサービスやインフラ運用管理など、完全にデジタルシフトができないものも多い。しかし、デジタル技術の活用で、高度化や効率化を目指すことは可能だ。具体的には、所得情報などのデータをもとに困窮している住民を把握できれば、リアルでの生活相談や支援策提案といったプッシュ型の支援につながる。また、ごみ置き場にセンサーを設置して集積度をリアルタイムで把握すれば、収集・運搬ルートを最適化できる。上下水道でも運用管理の効率化や省人化は可能だ。データ活用や手続きのデジタル化により事務負担が軽減されれば、自治体職員は住民とのリアルな相談などに時間を割けるようになり、サービスの質を向上させられる。
自治体によっては、過疎化や財政難のあおりで人材や予算が不足してデジタル化に十分対応できないところもある。このため、全国で共通化できる部分は政府がシステムを開発して展開する方法が考えられる。また、東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイトのように、オープンソースとして他の自治体に仕様を公開すれば、基礎的な部分のデジタル化は実現できる。
行政手続きのオンライン化だけで問題は解決しない。デジタルとリアルを組み合わせた行政全体の変革により住民の生活の質を高めることこそが真のゴールなのである。
※1:正式名称は「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律」。デジタル技術を活用した行政推進の基本3原則(①デジタルファースト、②ワンスオンリー、③コネクテッド・ワンストップ)などを定めている。
※2:三菱総合研究所「生活者市場予測システム(mif) 」アンケート調査(回答者5,000人、2020年6月23~25日実施)。「利用したい」「条件によっては利用したい」の合計。