森林由来の再生可能な資源を活用する「木質バイオマス発電」は将来のエネルギーの資源として注目される。国産材を用いた場合、エネルギー自給率の向上や地域の林業・森林整備の活性化が期待できる。再造林※1後の成長過程では二酸化炭素を吸収する効果も見込まれる。しかし現状では、燃料材に占める国産材利用率は約26%にとどまる※2。
国産材の利用率を増やすには、燃料となる木質チップの「長期安定供給」が最大の課題といえる。しかし現状では、国土の3分の2を占める森林資源を有効に活用できているとはいいがたい。間伐※3に使う作業道が未整備で手入れや収穫の制約を受けている地域が多く、所有者や境界が不明で管理が行き届かない森林も目立つ※4。
そこで注目を集めているのが、木質バイオマス発電専用の森林をゾーニングし、「エネルギーの森※5」を創る構想である(図)。バイオマス発電燃料用と建材・用材などの既往産業用の森林を分離することで、建材などの需要動向に左右されない安定的な供給を実現できる。木質バイオマス発電に特化した木質チップの量産化、低コスト化も可能となる。採算性の改善により民間資本の投入も見込まれる。市場の変化に伴い森林所有者の意識も変わり、境界が不明確な民営林が多数存在する社会課題も解決に向かうだろう。
需要側のバイオマス発電事業では、燃料品質のバラツキにより発電に必要な熱量が得られないなど多様な課題が発生する懸念がある。発電事業者のニーズに応じた、含水率、サイズ、樹種、カロリー、成分などの発電用燃料規格の策定が必要である。規格化により、木質チップや木質ペレット※6などの「燃料市場」を透明化して市場流動性を確保することができる。スポット取引市場や熱量取引市場の形成も今後の論点とされている。
国産材の活用に向けては上流に位置する林業の構造変革が必須といえる。建材・用材、製紙・パルプなどの需要に左右されない安定的かつ低コストな供給体制を敷くため、需給情報を共有する仕組みをICTなどの新技術を用いて構築することが喫緊の課題といえる。需要側の発電事業者には、早生樹利用を含めた燃料の含水率管理や排熱の有効活用など、オペレーションの高度化が求められるだろう。
国産材の利用率を増やすには、燃料となる木質チップの「長期安定供給」が最大の課題といえる。しかし現状では、国土の3分の2を占める森林資源を有効に活用できているとはいいがたい。間伐※3に使う作業道が未整備で手入れや収穫の制約を受けている地域が多く、所有者や境界が不明で管理が行き届かない森林も目立つ※4。
そこで注目を集めているのが、木質バイオマス発電専用の森林をゾーニングし、「エネルギーの森※5」を創る構想である(図)。バイオマス発電燃料用と建材・用材などの既往産業用の森林を分離することで、建材などの需要動向に左右されない安定的な供給を実現できる。木質バイオマス発電に特化した木質チップの量産化、低コスト化も可能となる。採算性の改善により民間資本の投入も見込まれる。市場の変化に伴い森林所有者の意識も変わり、境界が不明確な民営林が多数存在する社会課題も解決に向かうだろう。
需要側のバイオマス発電事業では、燃料品質のバラツキにより発電に必要な熱量が得られないなど多様な課題が発生する懸念がある。発電事業者のニーズに応じた、含水率、サイズ、樹種、カロリー、成分などの発電用燃料規格の策定が必要である。規格化により、木質チップや木質ペレット※6などの「燃料市場」を透明化して市場流動性を確保することができる。スポット取引市場や熱量取引市場の形成も今後の論点とされている。
国産材の活用に向けては上流に位置する林業の構造変革が必須といえる。建材・用材、製紙・パルプなどの需要に左右されない安定的かつ低コストな供給体制を敷くため、需給情報を共有する仕組みをICTなどの新技術を用いて構築することが喫緊の課題といえる。需要側の発電事業者には、早生樹利用を含めた燃料の含水率管理や排熱の有効活用など、オペレーションの高度化が求められるだろう。
※1:森林を伐採した跡地に苗木を再び植樹すること。
※2:林野庁「木質バイオマスのエネルギー利用の現状と今後の展開について(第1回 林業・木質バイオマス発電の成長産業化に向けた研究会説明資料)」(2020年7月)。
※3:森林保全のため立木の一部を伐採すること。
※4:MRIマンスリーレビュー2019年9月号「新制度で森林資源活用を本格化させるには」。
※5:2020年7月に開催された「第1回林業・木質バイオマス発電の成長産業化に向けた研究会」で資源エネルギー庁説明資料にて使用された表現。
※6:端材などを顆粒状にして圧縮成型した固形燃料。