マンスリーレビュー

2019年6月号トピックス1次世代インフラ

民間の知恵で公共施設に新しい価値を

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2019.6.1

次世代インフラ事業本部福田 泰三

次世代インフラ

POINT

  • 有明アリーナを契機にコンセッションの活用推進に対する期待感が向上。
  • 収益の再投資により公共施設に新たな価値を創出。
  • 「にぎわい形成」や「新たな体験」も新たな公的価値だという発想の転換を。 
2019年3月、国内アリーナ初のコンセッションとして注目される東京都の有明アリーナ管理運営事業の運営権者候補者が選定された。コンセッションは、公共施設の所有権を公共主体に残したまま施設の運営権を民間事業者に設定することにより、料金設定や更新投資も含め自由度の高い施設経営を可能とする管理運営方式である。公共施設の管理運営を民間事業者が行う主要な仕組みとして指定管理者制度とコンセッションがあるが、公共性の高いサービスの事業代行にとどまらず、民間視点による自由度の高い施設経営によって収益拡大を図るにはコンセッションが有効とされている。政府もコンセッションの活用を推進しており、有明アリーナを文教施設分野の先進事例として案件増加への期待が高まっている。

しかし、コンセッションの後続案件がなかなか出てこない実情もある。公共施設には地方自治法に規定される「公の施設」の考え方があり、誰もが平等に利用できる公共性が求められてきた。施設経営の自由度の高まりが営利主義につながり、ひいては公共性を損なうと考える自治体も多いことが、検討が進まない一因である。

有明アリーナの場合、単なる箱貸しによる受け身の施設運営ではなく、民間事業者が有する国内外のネットワークを活かし、スポーツの国際大会やトップアーティストの公演など質の高いコンテンツを誘致・編成することで稼働率と収益性を高め、地域ににぎわいをもたらすことができる。また、継続的なIT投資により、大型ビジョンによるデジタル演出など最新鋭の観戦環境や、施設と来場者をつなぐアプリを活用したさまざまなサービスの提供など、快適で便利な利用者サービスをつくり出すことも期待されている。

このような「攻めの公共施設」はコンセッションのメリットを最大限に活かすことで実現できる。「にぎわいの形成」は社会経済への好影響を生む。大型ビジョンやアプリなどを駆使した「新たな体験」は利用者満足度の向上につながる。自治体には、このような社会的・文化的インパクトも、公共施設が新たに創出する公的価値だという発想の転換が必要だろう。
[図]有明アリーナで提案された最先端スマートアリーナのイメージ

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