2019年10月1日の消費税率引き上げに伴う国民負担増の軽減策として、政府はキャッシュレス決済へのポイント還元を決定した。キャッシュレス化については、東京だけでも、年間490億ドル(約5.4兆円)の便益が見込めるとの調査報告※1がある。同報告では、消費者は支払いの手間と時間を省くことができ、企業は決済効率化や収益拡大、政府は犯罪防止や税収増が見込めると指摘されている。
キャッシュレス化を進める上で、最も注目すべきは少額決済分野である。現金支払いの大多数は飲食や日用品の買い物、個人間の送金といった、日常生活での少額決済で占められているからだ。
当社が行った少額決済でのキャッシュレス利用状況調査によると、利用媒体の主役はクレジットカードである。クレジットカード決済は近年スーパーやコンビニでも普及してきた一方、年齢や社会的信用に比例して保有率が上昇するため、利用率は若年ほど低くなる(図中の①、②)。カード会社の手数料が高く小規模店舗への浸透が難しいこともあり、少額決済でのクレジットカード利用の広がりには限界がある。
今回の調査で若年層の利用率が高齢層を唯一上回ったのが「個人間送金」だ。絶対水準は低いものの、20代の利用率は16.3%と60代の3.5倍に上る(図中の③)。海外では近年、米国の「Venmo」、中国の「支付宝(アリペイ)」、スウェーデンの「Swish」といった個人間送金サービスが、若年層を中心に急速に普及している。こうした個人間送金サービスは少額決済普及の起点となりうるが、日本では「LINE Pay」などSNS付随の現行サービスは登録数と比較して実利用が進んでいない。
現状を打開するヒントは、当社による別のアンケート調査結果に示されている。少額決済でキャッシュレス利用を敬遠する理由として「使い方が分からない」「手続きが面倒」「利用できる店舗が限られている」が挙げられた※2。今後は、利便性・簡便性の訴求や利用可能店舗の拡大といった地道な施策の積み重ねが必要だ。伸びしろの大きい個人間送金サービスは、日本のキャッシュレス化を後押しできるはずである。
キャッシュレス化を進める上で、最も注目すべきは少額決済分野である。現金支払いの大多数は飲食や日用品の買い物、個人間の送金といった、日常生活での少額決済で占められているからだ。
当社が行った少額決済でのキャッシュレス利用状況調査によると、利用媒体の主役はクレジットカードである。クレジットカード決済は近年スーパーやコンビニでも普及してきた一方、年齢や社会的信用に比例して保有率が上昇するため、利用率は若年ほど低くなる(図中の①、②)。カード会社の手数料が高く小規模店舗への浸透が難しいこともあり、少額決済でのクレジットカード利用の広がりには限界がある。
今回の調査で若年層の利用率が高齢層を唯一上回ったのが「個人間送金」だ。絶対水準は低いものの、20代の利用率は16.3%と60代の3.5倍に上る(図中の③)。海外では近年、米国の「Venmo」、中国の「支付宝(アリペイ)」、スウェーデンの「Swish」といった個人間送金サービスが、若年層を中心に急速に普及している。こうした個人間送金サービスは少額決済普及の起点となりうるが、日本では「LINE Pay」などSNS付随の現行サービスは登録数と比較して実利用が進んでいない。
現状を打開するヒントは、当社による別のアンケート調査結果に示されている。少額決済でキャッシュレス利用を敬遠する理由として「使い方が分からない」「手続きが面倒」「利用できる店舗が限られている」が挙げられた※2。今後は、利便性・簡便性の訴求や利用可能店舗の拡大といった地道な施策の積み重ねが必要だ。伸びしろの大きい個人間送金サービスは、日本のキャッシュレス化を後押しできるはずである。
※1:VISAの報告書「キャッシュレスシティ:デジタル決済がもたらす恩恵の実現」によると、都市の全人口に現在の上位10%が利用しているのと同等のデジタル決済が浸透した場合、世界100都市計で年間4700億ドル、うち東京については490億ドルの便益が生じると予想される。
※2:当社「生活者市場予測システム (mif) 」のアンケートパネル3万人の中から5,000人を対象に調査。