一時は収まりかけたかに見えた新型コロナウイルス感染症の脅威が世界的に再燃している。日本も例外ではなく、寒さの増す季節に向け万全の警戒をもって臨む必要がある。新型コロナによる死者や重症者の数では、日本の被害は諸外国に比べ軽微といえるが、それは日本の医療技術よりも、手洗いやマスク着用など生活習慣の違いに負うところが大きいようだ。
それどころか、特別定額給付金の交付や医療機関での情報処理など、新型コロナを契機に政府や医療などのIT装備、デジタル化の弱点が顕在化した感がある。マイナンバーカードは肝心の場面でうまく機能しなかった。学校でもオンライン授業への移行に多くの時間とコストを要し、休校期間が長引いた。
コロナ禍で改めて気づかされたのは、過去30年の日本で技術革新は進み、イノベーションが生まれる環境も整備されてきたものの、社会の変革は進まなかったという事実である。これは、働き方、医療、教育、行政などさまざまな分野に共通している。社会の安定や漸進的な変革は日本の特徴でありプラス面もあるが、グローバル化が進み、技術と社会が速く激しく変化する時代には、大きなハンディキャップとなる。
失われた30年、日本の国際競争力は低下が続いてきた。1995年にはG20のトップにあった1人あたり名目GDPは頭打ち状態が続いている。さまざまな機関が発表する国際競争力ランクでも退潮傾向が続き、イノベーションや先端技術力(AIなど)では先行する米中との差は開く。
が、日本の問題の本質は、イノベーションや先端技術そのものよりも、それを社会に実装し、社会の変革に結びつけることではないか。名目GDPに代表される経済成長から、自由で格差のない社会、ESG※1などの質的要素を重んじる時代へと、国際競争力の定義も変わる。技術・イノベーションを社会実装・変革に結びつけることで、日本の新たな競争力を回復する途を考えてみる。
それどころか、特別定額給付金の交付や医療機関での情報処理など、新型コロナを契機に政府や医療などのIT装備、デジタル化の弱点が顕在化した感がある。マイナンバーカードは肝心の場面でうまく機能しなかった。学校でもオンライン授業への移行に多くの時間とコストを要し、休校期間が長引いた。
コロナ禍で改めて気づかされたのは、過去30年の日本で技術革新は進み、イノベーションが生まれる環境も整備されてきたものの、社会の変革は進まなかったという事実である。これは、働き方、医療、教育、行政などさまざまな分野に共通している。社会の安定や漸進的な変革は日本の特徴でありプラス面もあるが、グローバル化が進み、技術と社会が速く激しく変化する時代には、大きなハンディキャップとなる。
失われた30年、日本の国際競争力は低下が続いてきた。1995年にはG20のトップにあった1人あたり名目GDPは頭打ち状態が続いている。さまざまな機関が発表する国際競争力ランクでも退潮傾向が続き、イノベーションや先端技術力(AIなど)では先行する米中との差は開く。
が、日本の問題の本質は、イノベーションや先端技術そのものよりも、それを社会に実装し、社会の変革に結びつけることではないか。名目GDPに代表される経済成長から、自由で格差のない社会、ESG※1などの質的要素を重んじる時代へと、国際競争力の定義も変わる。技術・イノベーションを社会実装・変革に結びつけることで、日本の新たな競争力を回復する途を考えてみる。