行動変容を促進する仕組みの実証が進んでいる。
その一つは、特定地域内の消費喚起、経済循環促進を目的とした「地域通貨」だ。時間経過とともに価値が減る「減価する貨幣」への期待が高まっている。減価機能の概念が登場したのは20世紀初頭のドイツである
※1。価値が目減りする前にお金を使おうとするインセンティブが働き、消費が促進される。利用範囲が地域に限定されることで、地域での経済循環が促進される。
従来は「紙幣」であり利便性も低く、より効果を上げていく際のインセンティブのデザインが難しかった。この課題を、デジタル技術の1つであるブロックチェーン
※2の活用によって克服し、低コストで運用可能な仕組みを提供するのが当社の
「Region Ring™」である。複数種類のデジタル通貨やポイント、チケットなどを1つの基盤上で発行管理できる点(カラードコイン)と減価できることが特徴である。異なる経済的価値の同時提供、交換が可能となる。利便性の高い住民サービスを実現するとともに、複数地域の同時発行の管理が容易となり、地域ごとの導入・運用コストの低減を図れる。
国内では、2018年10月から12月に大阪市・あべのハルカス周辺エリアで発行された
「近鉄ハルカスコイン」の実証例がある。さらに、3つの地域
※3で総務省事業として減価機能の実証を行った。利用額に応じて付与されるコインが減価対象となるが、減価がない場合と比べて3割程度の利用単価の向上効果が、これらの実証で確認されている。
SDGsポイントの事例としては、
東京都「令和元年度東京ユアコイン(オフィス型)」がある。大手町・丸の内・有楽町地区のオフィスワーカー・来街者を対象に、合計2,500万ポイント(1ポイント1円相当)の規模で実証を行った。アプリ登録者がSDGs推進に寄与する取り組みに参加した場合にポイントを発行。社会貢献活動における「認知」「関心」「実践」など各フェーズで行動変容の効果を可視化できた。