近年、大手通信事業者の大規模障害が相次ぎ、通話だけでなく電子マネーや電子チケットが使えないなど、社会生活に支障が生じた。障害の影響は金融、交通、宅配、医療など広範な産業に及んだ。通信インフラはエネルギーと同様に他の社会インフラの土台であり、その機能停止は社会に甚大な損害をもたらす。
通信だけではない。GAFAMなど海外メガプラットフォーマーのサービス障害で日本企業の活動が機能不全に陥る例もある。障害の発生を想定した場合、社会の重要機能の維持を限られた特定の事業者に依存しているとすれば、レジリエンスの課題がある。
歴史を振り返れば、インターネットの構築意義は、拠点間通信の確立と同時にレジリエンスの確保でもあった。サーバーや伝送路が分散化・多重化されることにより、有事の際にも耐障害性の高い堅牢なネットワークが形成された。
その後のインターネット商用化の過程で、アドテック※1の台頭など情報の集約分析に価値が生まれ、メガプラットフォーマーが台頭する。サービスやOSで覇権を握ったメガプラットフォーマーはクラウドなどICT基盤への進出を強めた。デジタル産業の一極集中化により、インターネットが本来有していた分散・協調の利点は失われ、系全体のレジリエンスは損なわれている※2。
安全・信頼性の確保に強い規制を受ける通信インフラ※3だけでなく、サービスなど規制の弱い上位レイヤーでも一極集中によるレジリエンス低下が進行し、デジタル社会の重大リスクとなった。今後、自動運転や遠隔手術、重要インフラの遠隔制御などが普及すれば、リスクの影響範囲は拡大する。ICT基盤のレジリエンスを強化することは、デジタル社会の最重要テーマのひとつである。
通信だけではない。GAFAMなど海外メガプラットフォーマーのサービス障害で日本企業の活動が機能不全に陥る例もある。障害の発生を想定した場合、社会の重要機能の維持を限られた特定の事業者に依存しているとすれば、レジリエンスの課題がある。
歴史を振り返れば、インターネットの構築意義は、拠点間通信の確立と同時にレジリエンスの確保でもあった。サーバーや伝送路が分散化・多重化されることにより、有事の際にも耐障害性の高い堅牢なネットワークが形成された。
その後のインターネット商用化の過程で、アドテック※1の台頭など情報の集約分析に価値が生まれ、メガプラットフォーマーが台頭する。サービスやOSで覇権を握ったメガプラットフォーマーはクラウドなどICT基盤への進出を強めた。デジタル産業の一極集中化により、インターネットが本来有していた分散・協調の利点は失われ、系全体のレジリエンスは損なわれている※2。
安全・信頼性の確保に強い規制を受ける通信インフラ※3だけでなく、サービスなど規制の弱い上位レイヤーでも一極集中によるレジリエンス低下が進行し、デジタル社会の重大リスクとなった。今後、自動運転や遠隔手術、重要インフラの遠隔制御などが普及すれば、リスクの影響範囲は拡大する。ICT基盤のレジリエンスを強化することは、デジタル社会の最重要テーマのひとつである。