それぞれの技術は厳密に分類されてはおらず、人によって使い回しが微妙に異なることが多いが、ここでは、表1のような分類を採用する。
この分類によれば、ARとそれ以外のVR、MR、SRは方向性が異なる技術であるといえる。ARは、サイバー空間で作られた情報を現実空間に上書きするための技術であり、リアリティを追求する技術ではない(リアリティは、現実空間そのものから得られる)。コアデバイスもシースルー・ヘッドマウント・ディスプレイ(HMD)をはじめとして多彩なデバイスが用いられる。
一方、他のX-R技術(VR、MR、SR)は、脳や感覚器を意図的に誤認識させることで、リアリティを作り出すことがカギとなる技術であり、デバイスとして、没入型HMDが不可欠となる。
X-R技術 | 概要 | 認識の観点/コアデバイス |
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VR(Virtual reality:仮想現実)技術 | 仮想空間上にリアリティ(実在感)を構築する技術。 | 脳や感覚器を意図的に誤認識させる技術/没入型HMDなど |
AR(Augmented reality:拡張現実)技術 | 現実空間の物体などに情報を重ねることで、新たな認識を与える技術。 | 現実空間への情報重ね書き/シースルーHMD、タブレットPC,スマートフォン、ヘッドアップディスプレイ(HUD)など |
MR(Mixed Reality:混合現実)技術 | 現実空間と仮想空間を混合した上で、リアリティ(実在感)を構築する技術。 | 脳や感覚器を意図的に誤認識させる技術/没入型HMDなど |
SR(Substitutional Reality:代替現実)技術 | 過去を記録した情報と現在から得られる情報をシームレスに置換する技術。理化学研究所で心理・認知実験向けに開発。 | 脳や感覚器を意図的に誤認識させる技術/没入型HMDなど |
出所:末尾の参考文献1)、2)を参考に三菱総合研究所作成