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人口減少、高齢化社会の郊外再生:第2回:空き家対策における民間ビジネスの促進に向けて

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2016.10.4

次世代インフラ事業本部林典之

地方創生

POINT

  • 空き家の形態もさまざま。「新たに利活用対策を講ずべき空き家」を明確化しよう
  • 国や地方自治体は利活用にかかる情報を提供し、民間ビジネスを促進
  • 持ち主の負担やリスクを軽減するための仕組みを構築しよう 

空き家は大都市圏郊外部で大量発生

第1回「総論:郊外再生に必要な条件とは?」で示したとおり、大都市圏郊外部では1970年前後に郊外に分譲住宅を求めた世代の高齢化に連動して、空き家が大量に発生することが見込まれており、これへの対策を講ずることが喫緊の課題となっている。 

空き家の実態

平成25年の住宅・土地統計調査によると、大都市圏郊外部(※)の空き家は約166万戸で、全国(約820万戸)の約20%を占めている。ただ、一口に「空き家」といってもさまざまな形態がある。まず、別荘など二次的住宅といわれるものが約5万戸、売却・賃貸物件として現在空き家になっているものが約106万戸で、これら流通市場に出ているものが約111万戸を占めている。残る約55万戸の「その他の空き家」のうち、腐朽・破損がないものが約39万戸、腐朽・破損しているものが約16万戸となっている。

図 大都市圏郊外部の空き家の内訳と「新たに利活用対策を講ずべき空き家」
図 大都市圏郊外部の空き家の内訳と「新たに利活用対策を講ずべき空き家」
出所:「平成25年の住宅・土地統計調査」に基づき三菱総合研究所作成

「新たに利活用対策を講ずべき空き家」の明確化が必要

これら空き家の中には、既存の不動産流通の仕組みの中で利活用が進むものや、既に対策が講じられているものが含まれている。例えば、「その他の空き家」のうち、腐朽・破損している約16万戸については、空き家特措法に基づく「特定空き家」として、安全面・衛生面・景観面などの悪影響を勘案し、行政として指導・勧告・命令、除却などを行う対象となるものである。

効果的な空き家対策を講じるには、これら既存の対策から漏れた「新たに利活用対策を講ずべき空き家」について、その数と分布、性質(面積や、戸建て、集合住宅の区分など)を明確化していくことが必要である。具体的には、売却・賃貸物件の流通在庫と捉えられる約106万戸のうち、立地、建物の状態や価格などの面で市場性が低く、長期に亘り買い手、借り手がついていない物件は、新たな利活用対策を講ずる必要がある。 同様に、腐朽・破損がないその他の空き家、約39万戸についても、将来、子や孫などの利用が見込まれ一時的に空き家になっているものは良いが、そのような利用予定が無いものについては新たな利活用対策を講ずる必要がある。

現在、住宅・土地統計調査や空き家実態調査をはじめ、空き家に関するさまざまな調査・統計が実施されているが、これらのみから前述の「新たに利活用対策を講ずべき空き家」を特定することは困難である。不動産取引価格情報、不動産流通標準情報システム(REINSや民間不動産流通サイトなどに蓄積されている売却・賃貸物件の情報なども活用し、これらを組み合わせて集計・分析などを行い、空き家が市場に出ている期間や売買・賃貸の動向、価格水準などを把握・推計し、「新たに利活用対策を講ずべき空き家」を明確化する情報を整備し、対策検討に活かしていくことが必要である。

空き家利活用にかかる情報を提供し、民間ビジネスを促進

空き家の利活用は、リフォームなどにより高付加価値化を図り、住宅市場の中で実現していくことが基本ではある。最近では、オフィスやスタジオ、民泊など住居以外に利用される事例もあり、このような傾向は今後も拡大していくであろう。

一方、現在、多くの空き家の所有者にとっては、このような高付加価値化の方法やさまざまある利活用のどの方法が自分にとって適した方法かを判断する術が無い。このことが空き家の利用が進まない課題の一つといえるのではないか。

例えば、オフィスや民泊などの新たな利用市場について、空き家がある地域がどういう利用ポテンシャルを持つ地域かがわかれば、不動産業界による空き家利活用コンサルティングへの活用も期待され、所有者に対して、選択肢とともにメリット・デメリットといった判断材料を提供することも可能となる。また、金融面についても、対象物件の適正な売却・賃貸の価格水準を算出・提示するとともに、買い取り保証、賃料保証、リバースモーゲージ、リフォーム・リノベーション対応ローンなど、所有者の負担やリスクを軽減するための仕組みを講ずることが期待される。

大都市圏郊外部の空き家対策は、政府や地方公共団体の都市政策の観点から進めることが必要だが、民間ビジネスとして利活用を促進していくことが重要である。空き家対策に取り組む国や地方自治体は、民間ビジネスの促進の一助となる情報を積極的に収集し、提供していくことが必要である。

(※)大都市圏郊外部:都市雇用圏2010年(中心都市への通勤率が10%以上の市町村など;詳細は金本・徳岡「日本の都市圏設定基準」による)に基づき、三大都市圏の中心市を除く自治体の区域(東京都市圏の都区部以外、大阪・京都・神戸都市圏の大阪市、京都市、神戸市以外、名古屋・小牧都市圏の名古屋市以外)のうち、空き家に関する統計データがそろっている市部を対象とした。

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