2020年東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京2020大会)において日本のどんな点を発信したいのか。ここでは、東京都民と福島県民の双方を対象とするアンケート結果を示す(図1)。
東京都、福島県いずれでも最多だったのは「おもてなしの心などの日本的価値観」で、2位は「安全・安心な社会」だった。一方、「東日本大震災から復興した姿」を選択したのは、福島県で約20%、東京都で約15%。福島県でやや高いものの、相対的に低い割合にとどまっている。
あわせて、東京2020大会の開催を通じて、日本にどのような効果がもたらされることを期待するか尋ねた(図2)。最も多かったのは、東京都、福島県いずれでも「スポーツ(障害者スポーツを含む)の振興」であった。2番目に多く選択された項目は食い違っており、東京都では「空港・鉄道・道路などの交通インフラの利便性向上」、福島県では「観光客の増加」となった。
福島県に限らず地方では、東京2020大会を通じた観光客増への期待感は大きいだろう。しかし、(その1)5章で示したように、外国人観光客に福島県への旅行を勧めることに対して「放射線が気になるのでためらう」と回答した東京都民の割合は3割を超えている。現状に関する不正確な理解が、福島県への観光客訪問を阻害する可能性がある。
東京都、福島県いずれでも最多だったのは「おもてなしの心などの日本的価値観」で、2位は「安全・安心な社会」だった。一方、「東日本大震災から復興した姿」を選択したのは、福島県で約20%、東京都で約15%。福島県でやや高いものの、相対的に低い割合にとどまっている。
あわせて、東京2020大会の開催を通じて、日本にどのような効果がもたらされることを期待するか尋ねた(図2)。最も多かったのは、東京都、福島県いずれでも「スポーツ(障害者スポーツを含む)の振興」であった。2番目に多く選択された項目は食い違っており、東京都では「空港・鉄道・道路などの交通インフラの利便性向上」、福島県では「観光客の増加」となった。
福島県に限らず地方では、東京2020大会を通じた観光客増への期待感は大きいだろう。しかし、(その1)5章で示したように、外国人観光客に福島県への旅行を勧めることに対して「放射線が気になるのでためらう」と回答した東京都民の割合は3割を超えている。現状に関する不正確な理解が、福島県への観光客訪問を阻害する可能性がある。
図1 東京2020大会で発信したいこと(東京都、福島県)※1
図2 東京2020大会に期待すること(東京都、福島県)※2
(その1)および以上の結果から、福島県の復興状況や放射線に関する東京都民の理解が不十分なうえ、東京2020大会は「復興五輪」でもあるとの意識が十分に高まっていない実情が明らかになった。2020年までにいま一度、「復興五輪」の意義を再確認するとともに、福島県の復興状況や放射線に対する理解を、東京都民を中心として、さらに深めていく必要がある。