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2017年1月号トピックス5デジタル・イノベーション

デジタルイノベーションの鍵は材料・デバイス技術

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2017.1.1

政策・経済研究センター亀井 信一

デジタル・イノベーション

POINT

  • IoT、AI、ロボットが一体的に機能することで人間のような自律的活動が可能に。
  • 情報の収集と分析を担うIoT、AIの進化には材料・デバイス技術の高度化が不可欠。
  • 材料・デバイス技術が、日本のデジタルイノベーション戦略の鍵を握る。
2016年は、AIや仮想現実(VR)などにとって記念すべき年であった。人間に勝つことが最も困難なものの一つと思われた囲碁でグーグルが開発したアルファ碁が世界のトップ棋士であるイ・セドル九段を4勝1敗で退けた。今後どこまで進化していくのであろうか。

近年のデジタルイノベーションは、IoT、AI、ロボット技術が一体的に語られることが多い。IoTの要は情報の収集と転送、AIは分析と判断、ロボットは駆動系である。人間に例えると、それぞれ目や耳、脳、筋肉に相当する。これらが一体的に機能することで、自律的に活動する能力をもつことになる。

特に飛躍的な進化が期待されるのが情報の収集と分析の領域である。入り口である情報収集の未来像に関しては、トリリオン・センサーという概念が提唱されている。毎年1兆個を超えるセンサーを活用して社会に膨大なセンサー網を張り巡らせようとの構想である。これを実現するためには、センサーを小型化や低消費電力化するばかりでなく、外からの給電に頼らずエネルギーを自律的に集める仕組みが不可欠だ。そのための技術は、周辺の振動や光などの微弱なエネルギーを集めて電力に変換するもので、超微細技術や振動を電力に変える圧電素子の高度化が鍵を握る。

また、分析を担うAIの進展にはコンピューターの高速化が不可欠だ。高速マシンの未来像には量子コンピューターが挙げられる。その実現は今世紀後半といわれていたが、日本の研究者が原理を提唱した新しいタイプの量子コンピューターが実用化しつつある。NASAとグーグルはこの方式で従来の1億倍の高速を実現した。その重要な要素技術の一つは超伝導技術であり、材料、デバイス技術がその実現を支えている。

とかくデジタルイノベーションは欧米が先行し日本に勝ち目はないのではないかという声を聞く。しかし、ナノテクノロジーをはじめとする超微細技術や材料、デバイス技術は日本が得意とするところである。デジタルイノベーションの潮流を捉え、ここでしっかりと実を取ることを戦略として提案したい。
[図]デジタルイノベーションを支える技術

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