マンスリーレビュー

2020年10月号トピックス5地域創生経済・社会・研究開発

ポストコロナ時代の「再エネ主力電源化」社会のつくり方

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2020.10.1

政策・経済センター清水 紹寛

地方創生

POINT

  • 再エネの大量導入、主力電源化が前提で進む日本のエネルギー政策。
  • ポストコロナでは「地域」の視点がより重要に。
  • 再エネの社会的受容性を多面的に評価する必要がある。
エネルギー政策の基本的視点として3E+S(供給安定性、経済性、環境性、安全性)が重視される中※1、温室効果ガスの2050年80%削減の目標達成に向けては、再エネの大量導入、主力電源化が前提となっている。日本全体への影響についても、費用便益、経済波及効果などさまざまな観点から検討が行われている。大量導入では通常に比べて、化石燃料の輸入減少、CO2排出量削減による経済効果、経済波及効果などにより、2050年時点で年間10兆円程度の追加効果が期待できる※2

さらに、このコロナ禍である。世界はニューノーマルに移行し、ポストコロナの時代において、エネルギー需給の姿は大きく様変わりする。短期的には需要減少によりエネルギー関連企業の業績が悪化し新規投資が停滞する。中長期的にはリモートワークの普及で地方への分散居住なども進展しコンパクトなスマートシティ化が促される。コミュニティー単位での新たなエネルギーマネジメントが求められるようになる。

このように、地域におけるエネルギー需給のあり方が改めて問い直されている。その際、景観や雇用創出などの問題に配慮した、導入地域ならではの社会的受容性の視点がこれまで以上に重視されよう。しかしひと口に再エネと言っても、太陽光発電、風力発電をはじめバイオマス発電など特性はさまざまであり、社会受容性を考慮する上で、位置づけを明確にして何をどれだけ導入するか検討しなければならない。

例えば、風力発電の追加導入が検討されている北海道をモデルケースに考えると、風力発電は、「施設建設費」および「運転維持費」の波及効果が比較的大きい傾向がある(図)。一方、中小水力発電やバイオマス発電の波及効果は小さい。費用便益でも発電量の割に運転維持費がかかる。こうした設備の導入を推進する場合は、親和性の高い他産業との連携を模索したり、別種のインフラとの同時敷設を検討する必要がある。北海道の上川郡下川町では、主力産業である林業の雇用創出も視野にバイオマス発電の導入に踏み切った。再エネ主力電源化に向けては、環境への配慮だけではなく、地域社会への貢献などの多面的な社会的受容性を考慮した上で検討を重ねるべきだろう。

※1:MRIマンスリーレビュー2019年9月号「脱炭素社会を展望するエネルギービジョン」。

※2:当社試算。

[図] 再生可能エネルギー設備を最大限に導入した際の経済波及効果(北海道)

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