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2020年10月号トピックス4経済・社会・研究開発

コロナ禍で再考するプラチナキャリアの意義

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2020.10.1

未来共創本部高橋 寿夫

経済・社会・研究開発

POINT

  • コロナ禍でテレワークが急増、自分のキャリアは自分でつくる時代に。
  • ジョブ型雇用で活躍するには、自律的に学びスキルを高めることが不可欠。
  • ポストコロナでは全世代の企業人にとってプラチナキャリア実践が必要。
プラチナキャリアは、未来共創イノベーションネットワーク(INCF)で2019年に提唱された新しいコンセプトで、「長期的視点」「自律的な学び」「社会への貢献」を特徴とした、これからの時代に必要となるキャリア像である。この理念の普及を目的として設立された表彰制度がプラチナキャリア・アワードである。

2020年に第2回を迎え、最優秀賞に積水化学工業が選定された※1。積水化学工業は人財育成に積極的に取り組んでおり、年代別の研修を毎年継続している。その研修実施実績も多数であり、「自分のキャリアは自分でつくる」を重視している点が評価された。こうした自律的な学びを継続することは、ポストコロナ社会において、さらに重要性が増すと考えられる。

ここ数カ月のコロナ禍の混乱は、プラチナキャリアの重要性を再認識する契機となった。顕著なのはテレワークの急速な普及である※2(図)。テレワークの特徴は「働く場所に左右されないこと」にあるが、「直接監視されない」という側面も大きい。テレワーク利用者が仕事を自律的に遂行した結果、「どれだけ成果を出したか」を会社側が正当に評価することが重要になる。この着眼は、自己研鑽型の教育制度を前提とするジョブ型雇用の発想に通じる。コロナと共存する時代を見越し、実際に多くの企業でジョブ型雇用の導入・拡充の機運が高まり、働き手にとっては自身の担う業務を高い水準で遂行するための能力開発が求められるだろう。

先の見えないポストコロナの時代に社会経済環境が激変する中で、働き方が一変する可能性も高い。そうした状況でわれわれは高齢社会を迎える。生活のためにも、さまざまな不測の事態を乗り越えるためにも、70歳もしくはそれ以上の年齢になっても働くために、必要な事柄を自律的に学びスキルを磨き続ける必要性がある。コロナ禍は、シニアだけでなくあらゆる世代の企業人にとってプラチナキャリアの必要性を再認識する機会となったのではないだろうか。そして、さまざまなスキルをもった働き手が能力を十二分に発揮できるような仕組みづくりが、企業側にも求められるのではないか。

※1:第2回の授賞は最優秀賞に積水化学工業、優秀賞に味の素、サントリーホールディングス、T&Dホールディングス、特別賞にディスコ、東洋経済賞にIDECが選定された。第1回は最優秀賞にSCSKが選定されている。

※2:三菱総合研究所「生活者市場予測システム(mif)」アンケート調査(回答者は2019年度3,630人、2020年度3,515人。実施時期は2019年度が2019年6月、2020年度が2020年6月)。

[図] テレワーク実施状況(ホワイトカラー)

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