現存する街並みは仮想空間(メタバース)とも連携している。ホログラム型のアバターやロボットを分身として、時空を超越して観光や仕事をし、友人と語り合う。都市の3Dデータや五感情報などを伝達するのは、テラbps(1秒あたりのビット数)級の超大容量ネットワークの役割だ。わくわくする未来社会の実現に、ICT(情報通信技術)インフラの発展は欠かせない。
生成AIの普及がこの状況に拍車をかける。当社は情報爆発により2040年のデータ流通量が、2020年の348倍に増えると予測した(図)。
生成AIで日本が取るべき戦略について「AI戦略会議」の座長を務める東京大学大学院の松尾豊教授は、①モデル開発、②サービス開発、③ユーザーとしての利活用を提言している※1。中でも日本の強みを活かせそうなのは利活用の領域だ。
IoT(モノのインターネット)の普及過程で通信費などの費用が障害となったように、AI利活用のコストが高ければ本格的な普及は進まない。ルール作りや人材育成に加えて、膨大なデータの流通を支える安心安全・安価で潤沢なICTインフラの整備がなければ、AI利活用大国の実現は絵に描いた餅に終わる。