マンスリーレビュー

2023年7月号

MRIマンスリーレビュー2023年7月号

AI時代のICTインフラ拡張論

常務研究理事 山田 敬喜
ChatGPTに代表される生成AIの勢いが止まらない。人間と区別がつかないほどの自然な対話や卓越したコンテンツを生み出すことができる「新たな段階」が訪れ、またPCやスマホ、自動車、ロボット、メタバースなど「あらゆるものへの搭載」が進んでいる。

やがてAIは人間を超える知性を獲得すると予想されているが、それは敵対ではなく共生の新たなステージとなる可能性が高い。AIは人類のパートナーであり、知識創造の源泉にもなる。パスカルの「人間は考える葦である」という名言が深遠なる思索を呼び起こす。

日本はAI時代こそ世界に貢献できる国ではないだろうか。創造性と応用力に富んだ人材や魅力的なコンテンツ、光電融合などの次世代技術をもち、調和を重んじる文化も有している。日本の文化はAIとの共生にも適応しやすく、AI倫理や価値観の指針となる。

5月に開催されたG7サミットでは日本主導の「広島AIプロセス」が始動した。今後規制の在り方が議論される。日本がAI利活用大国となって世界に貢献するには、国際的なルール作りに加えて、膨大なデータ流通を支える安心安全なICTインフラが不可欠である。

さらに、非地上系ネットワーク(NTN)整備や海底ケーブル安定確保なども通じて、世界における日本の影響力が再び高まるよう期待したい。
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