東里:はい(笑)。というか、世に問いたいことというか。最近創造性という言葉が文字だけで暴走してしまっている気がするので、整理させてもらえたらと思います。
創造的だと太鼓判を押される人は、ある二つの要素が目立っているのではないでしょうか。その二つは「独創的な感性」と「高い表現力」です。同じものを見て他の人と違うコメントが出てくることを独創的だとすると、先ほど話した「古い感じ」というAさんとBさんは独創的な感性を持っていないから、創造的な人でないということになってしまいます。果たして彼らは独創的な感性はなく、創造的でないのでしょうか?
橋本:さっきのAさんとBさんはよく聞くと、それぞれ別個の感想を持っていたので、独創性が「ない」とは言い切れないですよね。
東里:そうなんです。なので、その人物に創造性があるかどうかというよりも、「彼らは自らの感性を自分で表現できる人か、それとも表現にサポートが必要か」と考える方が適しているのです。
私自身はこれまで900人以上に行った対話型鑑賞の経験から
「人は当たり前に独創的である」と考えています。しゃべるのが苦手な方もいますし、文字ならスラスラ書ける人もいます。単純に緊張して話せないだけなのかも、そんな気持ちで自分はファシリテーターとして寄り添っています。
橋本:ビジネスの場面でアイデアが求められる中、「自分には創造性がない」とあきらめる方や心折れる方はよくいます。でもそれは創造性の問題ではなく、「見つけ方」「伝え方」をまだ習得していないだけなんですね。言い換えると、「見つけ方」「伝え方」を身に着けていくことで、その人らしさ・独創性が引き出すことは可能で、対話型鑑賞はその助けになると。
東里:そうですね。最後にアートに関するファシリテーターについて話すと、自分の考えるファシリテーションの完成形はほとんどしゃべらないことなんです。自分が提供するのは思考のきっかけと、その思考を場に出すための安心感だけ。困っている人には表現のサポートもする。そんな役割がART for BIZのファシリテーターだと思っています。
橋本:今日はありがとうございました。引き続き、プロジェクト等でよろしくお願いします。