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ダイナミックプライシング成功の鍵 第1回:ダイナミックプライシングを始めよう

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2020.2.6

経営イノベーション本部池田諭司

経営戦略とイノベーション

ダイナミックプライシングの新時代到来

ダイナミックプライシング(DP)の新たな時代が始まる。多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に挑戦するものの、PoC(Proof of Concept:概念実証)にとどまるものや業務効率化などの内向きの取り組みが多い。そのような中で、DPは収益拡大に直結する取り組みとして注目を集めている。

ダイナミックプライシングの原理

DPはその名の通り、同じ商品・サービスについて価格を変えて販売する手法だ。その原理はとても単純で、商品・サービスを「高需要なら高く」「低需要なら安く」提供することで、顧客の多様なニーズに応えつつ、増収を図るものである。例として、この手法がよく使われる旅行業で説明する。例えば、沖縄旅行で利用するエアラインやホテルが同じであったとしても、夏は高く、冬は安いのが一般的だ。これは沖縄を満喫できる夏の需要が高く、冬の需要が低いことに基づく。この「夏に行く/冬に行く」以外にも、「休日に行く/平日に行く」「午前に移動する/午後に移動する」「移動時間が長い/短い」など需要の大きさに影響する要素は数多くあり、一つひとつの商品・サービスの提供単位(エアラインであれば、搭乗日×便)ごとに需要の大きさが異なってくる。
図1 需要に影響を与える要素 (例)沖縄旅行
図1 需要に影響を与える要素 (例)沖縄旅行
出所:三菱総合研究所
この提供単位ごとに需要の大きさの違いを適切に捉え、同じ商品・サービスを異なる価格で販売するのがDPだ。そのやり方はさまざまだが、価格を見直す回数によって大きく二つの段階に分けられる。
第1段階では、販売前に一度だけ価格を見直す。ここでは、商品・サービス一律の価格から、提供単位ごとの価格に設定し直す。エアラインで言えば、搭乗日と便によって異なる価格が設定される。なお、この段階ではいつ買っても価格は変わらない。
第2段階では、販売中に、第1段階で設定した価格に対して何度も見直しを行う。売れ行き(販売実績)から、販売前には読み切れなかったさまざまな影響を踏まえて予測し直すことで予測精度を向上させ、より適切な価格を目指す。この段階では、昨日買った人と今日買った人で価格が異なる場合がある。なお、当然ながら管理コストは膨らむが、得られる効果も大きくなる。
図2 ダイナミックプライシングの段階と日本における各業界の活用実態
図2 ダイナミックプライシングの段階と日本における各業界の活用実態
※1:スポーツ観戦(野球・サッカーなど)、コンサートなど
※2:DPの活用実態は企業によって異なる
出所:三菱総合研究所

ダイナミックプライシングを活かせる環境が整った

DPはその程度に差はあれ、古くから用いられてきた手法だ。それにも関わらず、今日になって頻繁に使われるようになった理由は、顧客の価値観やデジタル技術の変化によってDPを活かせる環境が整ってきたからである。
同類の商品・サービスであっても仕様(品質・価格など)の異なるものが多数存在し、その中から自身に合ったものを選択する機会が増えたことで、顧客は自身の好みを自覚し、こだわるようになった。デジタルデバイスの普及によって、企業は価格を細かく設定して顧客にタイムリーに伝えられるようになり、顧客は価格を比較できるようになった。ビッグデータ収集・解析技術の発展によって、企業は需要について深く理解できるようになった。こういった変化は今後も続き、DPが活かせる環境はさらに急速に整っていく。そして、近い将来はBtoCビジネスを中心に多くの業種で「使って当然」の手法になるだろう。

ダイナミックプライシング導入は適切な考え方・プロセスで

しかし、DPを実際に導入するとなると、期待する効果が得られるのか不安になるだろう。値上げばかりに焦点が当たって「もうけ主義」というレッテルを張られてしまい、顧客離れを起こすのではないか。競合との低価格競争に陥ってしまい、減収してしまうのではないか。こういった不安を払しょくできないと、DPの導入に関心があっても社内での合意が得られず、検討を始めることさえできないかもしれない。
だが、適切な考え方・プロセスで取り組めば、こういった事態は回避できる。DPが「できること」「できないこと」を正しく理解し、自社の事業環境や考え方に適した仕組みを創ることができれば、必ず強力な武器になる。第2回以降は、これまでさまざまな業種・企業を支援してきた実績に基づく当社の考え方・プロセスを紹介する。顧客と企業のWin-Winを実現する自社ならではのDPを創り上げる一助にしていただきたい。
図3 DP導入における不安
出所:三菱総合研究所

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