三菱総合研究所、国内のメタバースの認知・利用に関する研究成果を発表

83%が認知しているが、実際の利用者は5%程度

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2023.3.30

English version: 26 April 2023

株式会社三菱総合研究所

デジタルトランスフォーメーション
株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長:籔田健二、以下 MRI)は、3月30日、研究レポート「メタバースの認知・利用状況に関するアンケート結果」を発表しました。本研究レポートは、2022年12月に実施した10,000人アンケート等に基づき、国内のメタバースの認知状況、利用状況を俯瞰的に分析したものです。メタバースビジネスを成功させるには、視聴型デバイスと没入型デバイスのそれぞれの体験価値をバランスさせることが重要であることが読みとれます。

1. 背景

MRIでは50周年記念研究(2021年1月発表)において、デジタル・トランスフォーメーション(DX)、バイオ・トランスフォーメーション(BX)、コミュニケーション・トランスフォーメーション(CX)※ の3つの変革(3X)を提示しました。
本研究レポートは、2030年代のCXの基盤技術であるバーチャルテクノロジー(V-tec)の研究の一環として実施したものの一部です。V-tecの重要な応用先であるメタバースについて、国内の認知状況・利用状況を分析しました。

CX:デジタル技術やバイオ技術の進展によりコミュニケーションにおいても変革が生じるというもの。さまざまなレベルのコミュニケーション阻害の解消につながると期待される。

2. 概要・特徴

今回、新たに実施したアンケート結果に加え、毎年6月に実施している生活者市場予測システム(mif)の2022年データ、および他機関の公開情報を活用し、認知率や利用率の経時変化を分析しました。認知率は増加傾向を維持しており、2022年12月で83%に達しています。一方、利用率はあまり変化せず、5%程度にとどまっていることなどが見てとれます。
図 メタバースの国内における認知率・利用率の経時変化
メタバースの国内における認知率・利用率の経時変化
出所:各社の公表資料に基づき三菱総合研究所作成
その他、以下の結果が得られました。
  • メタバースという言葉を知っている人(認知者)は全体の83%
  • そのうち他者に説明できるレベルで理解している人(理解者)は全体の12%弱(2022年6月時点では5%未満)
  • 実際に利用したことのある人(利用者)は全体の5.5%
  • 利用者のうち、月1回以上利用している人は全利用者の30%強
  • 理解者、利用者ともに女性の割合は男性の4割程度
  • メタバースへの主要アクセス手段はスマホ・タブレット(6割)、PC等平面ディスプレイ(2割)で、「視聴型」のアクセスが中心。VR-デバイスのような「没入型」でのアクセスは、簡易型を含めても2割にとどまる
  • 現在のメタバースの応用領域(複数回答)は、ゲームや音楽・ライブ、ショッピング等を挙げる回答者が多い。将来の応用領域についてもゲーム等を挙げた回答者が多いが、教育・学習、医療・健康、遠隔会議などへの応用を挙げた回答者が顕著に増加している

3. メタバースビジネスの発展に向けて

今回の結果は、当面のメタバースビジネス成功のためにはスマホ・タブレットなどのモバイル系の視聴型デバイスでの体験価値を高めることの重要性を示しています。
現在では、ゲームや音楽・ライブ・スポーツ等の場合に、スマホやPCなどでのコンテンツ提供が一般的なものとなっています。今後は、現在のオンラインサービスの良さを残しつつ、3D空間でのオブジェクト表現やアバターによるコミュニケーションなど、メタバース特有の体験価値を付加することが重要です。
一方、教育・学習や遠隔会議などの場合、オンラインサービスが普及段階に至ったのは最近であり、視聴型メタバースについては有効な活用法が模索されている段階にあります。これらの応用領域については、メタバース特有の価値をより鮮明にし、市場を顕在化させていく必要があります。
なお、長期的には没入型のメタバースへの期待は極めて高いものがあります。将来のビジネスへの投資という側面を意識して、より積極的な研究開発を進めることが望まれます。
視聴型と没入型の体験価値をバランスさせることにより、メタバースビジネスは中長期的に大きく発展することが期待されます。

本研究レポートが、メタバースの利用や事業化を検討する際の参考となれば幸いです。
三菱総合研究所は、今後も社会課題をビジネスで解決するための情報を提供していきます。

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