こうした定年制度について、働き手はどのように感じているのだろうか。
三菱総合研究所が毎年6月に実施している大規模生活者調査「生活者市場予測システム:mif※2」の回答者のうち、現在仕事をしている人を対象として、特徴的な点を整理した。
まず「希望引退年齢」について2023年データでみると、現在働いている人のうち63%が65歳以上を希望している。60代で働いている人に限定すると、70歳以上を希望している人が67%にも上り、長期間働くことを希望している人は多数派であることがわかる。
また前述のように、定年後企業は「継続雇用制による雇用上限の引き上げ」で対応、すなわち嘱託/契約社員として雇用の場を提供しているケースが多い中、雇用形態別(正社員/団体職員と嘱託/契約社員)に働き方に対して「今後どうしたい」意向をもっているか集計した結果が図4となる。
「強みを活かせる仕事をする」に対しては、正社員/団体職員で63%、嘱託/契約社員で62%となっており、雇用形態間で大差はなく、こうした意向を強く持っていることがわかる。その一方で、「会社に対して忠誠心を持って仕事をする」に対しては、正社員/団体職員で37%なのに対し「嘱託/契約社員」では30%と7ポイント小さく、また「お金を得る手段として割り切り仕事をする」については正社員/団体職員では41%なのに対して、嘱託/契約社員では52%と11ポイントも高くなっている。
図4 60代雇用形態別「働き方」の今後の意向(全就業者)
出所:mif調査データをもとに三菱総合研究所作成