マンスリーレビュー

2019年9月号トピックス6情報通信

デジタル時代だからこそ意味をもつ実体消費

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2019.9.1

政策・経済研究センター木根原 良樹

情報通信

POINT

  • 2050年の未来社会の姿を探るべく当社は市場調査を実施。
  • デジタル商材の受容性に関し20代・30代女性が敏感に反応。
  • データを戦略的に活用し将来市場のマーケティングに活かせ。
インターネットを通じて人々の生活にデジタル技術が浸透し、いわば一大経済圏を形成しつつある※1。今後、AIやロボット、VR/ARなどがさらに進歩し、デジタル技術を核とした経済活動が、人や実物を介したリアルな経済活動(実体消費)を上回り、経済圏としての広がりも凌駕する可能性がある。

当社は国内における2050年の未来社会の姿を探るべく「2050年頃に可能になる未来の暮らし方に関する調査」を実施した※2。30年以上先の意向を尋ねるため「30年後の自分ではなく、現在のあなたが年齢や家族構成そのままで2050年の世界にタイムトラベルしたと仮定してお答えください」といった前提を設けた※3。デジタル技術の理解度や受容性などに関して性別、世代別の傾向を詳細に調べた。

具体的には、人手中心のリアルな生活と、新技術によるデジタルな生活のどちらを好むか、約30のアイテムについて調べた。例えば「ロボット介護」では「家族や自身が高齢になった場合、安全性が確保されれば全てロボットによる世話でよい」のかなどを尋ねた。その結果、ロボット介護、自動運転車※4、家事ロボット※5などにおける新技術の利用意向が他のアイテムに比べて高く、とりわけ20代、30代の女性有職者において顕著な傾向を示すことが分かった(図)。デジタル技術などによる自動化、高度化に対して、仕事、介護、子育てに直接向き合う若い女性の期待は大きい。

一方、「保育園などでの子供(乳幼児)の保育は、安全性が確保できるのであればロボットに任せてもよい」とする女性は少数派だった。ロボット介護のサービスは気兼ねなく受けられるが、子供の成長には直接触れることで喜びを感じたいからだろう。その他、VR/ARによる旅行の方が、現地に行く旅行よりも利用意向が低いことも分かった。リアル体験でしか味わえない感動や共感を重視したいとの姿勢だろう。

デジタル技術を消費分野に応じて積極的に「選択する」「選択しない」意向が見て取れる。デジタル技術の取り込みを見込むメーカーやサービス事業者にとって、これら消費者の意向データを活用しつつマーケティング戦略に活かすことが重要だ。

※1:MRIマンスリーレビュー5月号「世界100億人がつながるサイバー空間

※2:調査概要
三菱総合研究所「生活者市場予測システム (mif) 」による調査。
対象:日本全国の20~69歳の男女
サンプル数:5,000人
調査時期:2019年5月。
調査方法:ウェブインターネット調査

※3:「2050年、デジタル技術などの進歩により、新しい暮らし方も可能となります。あなたの希望や考えはAとB、どちらに近いですか?」と質問しつつ、アイテム別に人手中心のリアルな生活(A)、新技術によるデジタルな生活(B)を例示した。

※4:「便利に安価で提供されるなら自動車を持たず、通勤や外出の際は自動運転車を利用したい」のかどうかを尋ねた。

※5:「掃除や洗濯はほぼ全て家事ロボットに任せたい」のかどうかを尋ねた。

[図]デジタル技術の日常生活での利用意向(20代・30代女性有識者)