コラム

社会課題×デジタル経営コンサルティング

第8回:大企業のPoC疲れを打破する課題解決志向の開発マネジメント

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2020.10.8

公共DX本部野田洋輔

社会課題×デジタル

POINT

  • PoCを実施するも事業化まで行けない「PoC疲れ」が起こっている。
  • 事業化に向けた課題を開発現場に落とし込むマネジメントが肝要。
  • ウィズコロナ下では、数より質のPoC開発がこれまで以上に求められる。
昨今、「PoC※1疲れ」という言葉がよく聞かれる。PoCに取り組んだものの、事業化につながらず試行段階で終わる案件が山積みされてしまうものである。事業化に向けた手段であるPoCそのものが目的化してしまっており、組織としては悩ましい事態であろう。

特に大企業や官公庁が主導・実施するケースでは、単純なソフトウエア開発にとどまらず、デバイスなどのシステム周辺要素も含めた実証となることも多く、それだけステークホルダーも増える。技術的な複雑さや組織的な調整事項を抱えたPoCは、それだけ解決すべき課題も多いものであるが、ここで重要なのは開発上の技術面を主とした課題と、事業化に向けた課題は必ずしも一致しないということである。この点を意識した課題解決志向のマネジメントがなされなければ、PoCにおける技術上の課題解決に成功したとしても、事業化に向けた費用対効果の発揮や価値創出(=既存のソリューションと比した優位性の確立)などに関わる課題は解決されず、PoC疲れの状態が生じる。

こうした課題を生じさせないマネジメントとして、以下の取り組みが必要と考える。

①事業化のための観点である「品質(既存商品以上の提供価値)」「コスト(提供価格)」「デリバリー(事業化・商品化までの所要期間)」を、PoC開発の現場でも意識し、具体的に事業化を見越した開発とする。
②PoC開発責任者と事業化責任者(状況により経営層などの投資判断責任者も含む)間において、「事業化に向けた課題」と「PoC開発における課題」の対応が整合しているか確認する場を持つ。特に、事業化おける状況変化(外部環境の変化、投資可能額の変更など)を、事業化責任者がPoC開発責任者と適切なタイミングで共有することが肝要である。
③PoC開発責任者は、「事業化における状況変化があった場合、PoC開始当初に想定した実現方法以外での実現ができないか」という視点で、常に事業化を見据えて開発現場での課題解決をマネジメントする。

ウィズコロナの状況下におけるDX推進は社会的要求であり、大企業や官公庁を中心とした、事業化を見据えたPoCは今後も増加するだろう。また、予算も限られるケースが増えてくると想定される。これまでのようにPoC開発の数を打つだけでなく、事業価値に結び付くPoC開発を効率的に実施することが、今まで以上に求められるだろう。

※1:概念実証。新しい理論やアイデアなどの実証を目的とした、試作開発の前段階における検証のこと。

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