マンスリーレビュー

2018年9月号 経済・社会・研究開発

リアルデータを活用するシステムを導入するポイント

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2018.9.1

コンサルティング部門 社会ICTイノベーション本部小泉 洋介

経済・社会・研究開発

POINT

  • 先端技術の浸透でリアルデータが企業にとって競争力の源泉に。
  • システム導入の効果を発揮するには開発プロセスを変える必要あり。
  • 現場の知見を全社的な組織知へと転化することが肝要。 
 近年、ビッグデータだけでなく、生産現場などで収集されるリアルデータの活用に積極的な企業の業績が相対的に良くなる傾向が見られる*1。リアルデータの管理や利用はかつて、局所的にとどまっていた。しかし、IoTやAIといった革新的な情報通信技術を用いたシステム導入を通じて広範で多様な連携や高度な解析が可能となったため、付加価値の高い情報資産として企業の競争力の源泉となっている。

 ただし、システム導入の効果を発揮してリアルデータを十分に活用するには、従来と開発プロセスを変える必要がある。AIのようなブラックボックス化しやすい技術を活用する場合、実現できる範囲や精度を模索しながらシステム開発を進めなければならないからだ。その際には、概念実証(PoC:Proof of Concept)と呼ばれる手続きが必須である。PoCにはユーザーの要求とシステムスペックの調整や、実現可能性の検証、実現した場合の精度を高めるための実証などが含まれる。PoCを通じて、システム導入による効果があると認められれば、本格的な開発を行うことになる。

 また、個別の組織でバラバラにシステム導入に取り組むことは避けるべきだ。現場のいたる所で、どのような技術ツールを利用するか、その特性や利用の範囲、推進の工夫などに関して、同じような検討やPoCを行ってしまう事態が起きているようだ。実際に、同一企業の異なる組織から、似たような相談を受けることもある。

 こうした無駄を省き、スピード感をもってリアルデータを活用するには、現場でシステム導入を完結させる従来型のスタイルから脱却すべきだ。ビジネスモデルを変革する活動として、現場と全社を連動させていくのが望ましい。各部門で変革への抵抗が生じることもありうるため、トップダウンでの迅速な判断と強力な推進が必要不可欠である。経営者や経営戦略部門が主導して、調査研究やPoCや開発を「まずやってみる」ことが有効なのだ。そして上からの展開と現場からのフィードバックとを繰り返す(図)。その上で、企画部門で社内の取り組みを集約するほか、社内横断的な情報共有を進めるなどして、現場の知見を全社的な組織知へと転化することが肝要となる。
[図]現場完結型から全社連動型への転換

*1:経済産業省「2018年版ものづくり白書」から
http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2018/honbun_pdf/index.html

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