IMD「世界競争力年鑑」※12018年版によれば、日本の競争力総合順位は25位(63カ国、地域中)である。1992年の1位が1997年に17位へ急落。ここ20年はおおむね20位台中盤に低迷している。イノベーションと相関が強い競争力の停滞は、有力企業の海外流出を招き、海外企業の日本進出を阻む。その結果、日本の競争力はさらに低下する。悪循環を断ち切るために弱点の克服は急務といえる。
同年鑑の競争力指標を構成する4大分類※2では、この5年間で特に「ビジネス効率性」の順位が大きく低下している(2013年21位→2018年36位)。一つの要因として、ビジネス効率性の構成要素である「デジタル技術の活用による業績向上」と「意思決定へのビッグデータの活用」がいずれも50位台であり、他国に比べてデータが全社的に有効活用されていないことが挙げられる。「企業におけるデジタル化への理解」の順位も44位と低い。デジタル化、デジタルデータ活用の効用に改めて気づき、戦略的な実践につなげることはデジタル時代の国際競争に打ち勝つ上で重要である。
同年鑑はスピード経営の面で日本企業が他国にリードを許していることも示す。「企業の意思決定速度」「機会と脅威への素早い対応」「新たな機会への柔軟性と適応性」はいずれも60位台と最下位グループに位置している。このままでは時々刻々と変化する国際ビジネスの環境に対応することができず「ガラパゴス化」が進みかねない。「企業の市場変化への認識」も55位にとどまっている。過去の成功体験に甘んじることなく、国内外の市場を分析し、柔軟性と適用性をもって事業に臨むことが求められている。
米国企業を対象とした実証研究※3によれば、イノベーションや生産性の向上は、「ICT化」「企業組織」「人的資本」の三つのスキルセットが相互に補完的な役割を果たすことで初めて実現される。同じく年鑑で50位前後と低迷している「デジタル技術技能者の厚み」や「マネジメント教育」を改善し、デジタル化、スピード経営とともに人材育成を推進していくことは、日本の国際競争力を復活させる上で不可欠な条件である。
同年鑑の競争力指標を構成する4大分類※2では、この5年間で特に「ビジネス効率性」の順位が大きく低下している(2013年21位→2018年36位)。一つの要因として、ビジネス効率性の構成要素である「デジタル技術の活用による業績向上」と「意思決定へのビッグデータの活用」がいずれも50位台であり、他国に比べてデータが全社的に有効活用されていないことが挙げられる。「企業におけるデジタル化への理解」の順位も44位と低い。デジタル化、デジタルデータ活用の効用に改めて気づき、戦略的な実践につなげることはデジタル時代の国際競争に打ち勝つ上で重要である。
同年鑑はスピード経営の面で日本企業が他国にリードを許していることも示す。「企業の意思決定速度」「機会と脅威への素早い対応」「新たな機会への柔軟性と適応性」はいずれも60位台と最下位グループに位置している。このままでは時々刻々と変化する国際ビジネスの環境に対応することができず「ガラパゴス化」が進みかねない。「企業の市場変化への認識」も55位にとどまっている。過去の成功体験に甘んじることなく、国内外の市場を分析し、柔軟性と適用性をもって事業に臨むことが求められている。
米国企業を対象とした実証研究※3によれば、イノベーションや生産性の向上は、「ICT化」「企業組織」「人的資本」の三つのスキルセットが相互に補完的な役割を果たすことで初めて実現される。同じく年鑑で50位前後と低迷している「デジタル技術技能者の厚み」や「マネジメント教育」を改善し、デジタル化、スピード経営とともに人材育成を推進していくことは、日本の国際競争力を復活させる上で不可欠な条件である。
※1:国際経営開発研究所(IMD) はスイスのビジネススクールであり、1989年より毎年6月に「世界競争力年鑑 (World Competitiveness Yearbook)」を公表している。
※2:企業が競争力を発揮できる土壌の整備度を重視する観点から、幅広く関連統計などを収集(2018年版は258指標)し競争力指標を作成。「ビジネス効率性」は「経済状況」「政府の効率性」「インフラ」と並ぶ4大分類の一つ。
※3:Bresnahan, T., Brynjolfsson, E., andHitt,M.(2002), Information technology, workplace organization, and the demand for skilled labor:Firm-level evidence, Quarterly Journal of Economics,117(1), 339-376.