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2019年4月号トピックス1デジタル・イノベーション

「デジタルトランスフォーメーション」は社内人材の育成で

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2019.4.1

コンサルティング部門 経営イノベーション本部小野寺 光己

デジタル・イノベーション

POINT

  • デジタルトランスフォーメーションが思うように進まないという悩みを聞く。
  • 理由は人材不足。現在特に不足しているのはビジネス系のデジタル人材。
  • 社内のビジネス系スキルをもった人材を現場でOJTすると良い。 
「デジタルトランスフォーメーション(DX)」※1に取り組む企業が増えている。Uber、Airbnbなど、デジタル技術を強みとして既存市場を席巻するディスラプター(破壊者)企業への危機感の高まりが背景にある。その一方、「全社的なDXは本当に難しい」という企業の声が当社に多数寄せられる。AIなどのデジタル技術のPoC※2を行ったものの本格展開に至らないケースも多い。

DXが思うように進まない最大の要因はDXを推進する「デジタル人材」の不足にある。多くの企業は中途採用を中心とした外部からの調達で対応しようとするが苦戦を強いられている。当社推計では、「技術革新をリードしビジネスに適用する専門技術職人材は、2030年時点で約170万人不足する」ことが見込まれる※3。マクロ的にも不足しているため、外部からの人材獲得競争は熾烈(しれつ)を極めている。

デジタル人材というと、AIなど、先端のデジタル技術に関する高度な専門知識や、プログラミングスキルをもつ特殊な技術系の人材を想起するかもしれない。しかし、実際のDXの現場では、PoCで技術面の確認はできたものの、肝心のビジネスに結びつかないケースも散見される。このようなケースで不足しているのは技術面のスキルではなく、技術をビジネス価値に変えるスキルである。DXの進展に合わせ、「ビジネス・サービス設計」「組織・プロジェクト管理」といったビジネス系スキルをバックボーンにもつデジタル人材の重要性が高まっている。

こうした「ビジネス系デジタル人材」を確保するために、外部ではなく社内に目を向けてはどうか。自社内のビジネス設計や管理スキルをもち、DXに対して素養のある社内人材に役割と権限を与え、技術系デジタル人材中心の現場でOJTを行い、デジタル技術の知見を獲得させる。現場は自社内でも社外でもよい。日本企業は雇用慣行から、自社のビジネスや組織の動かし方を知る人材を豊富に抱えている。現場における技術の担い手との協働に最低限必要なスキルを習得すれば、DXに必要な車輪が回り始める。

※1:ビジネスを変革しない企業は市場からの撤退を余儀なくされる──。との考えに基づいて推進する、デジタル技術の活用を伴う新たな価値を生み出す/価値を高めるための一連の取り組み。

※2:Proof of Conceptの略。新しい概念や理論、アイデアが実現可能であることを確認するための簡易的な試行、実証実験。

※3:当社コラム・レポート「大ミスマッチ時代を乗り超える人材戦略 第2回 人材需給の定量試算:技術シナリオ分析が示す職の大ミスマッチ時代 ~2030年の人材マッピング~

[図]デジタルトランスフォーメンション(DX)推進に必要なスキルセット

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