マンスリーレビュー

2019年4月号

MRIマンスリーレビュー2019年4月号

2019年4月号 巻頭言「ポスト平成にめざすもの」

代表取締役社長 森崎 孝
来月から新たな元号がスタートする。平成最後の巻頭言にあたり、過去30年にわたる平成の歩みとポスト平成に思いをはせてみたい。

「内平外成、地平天成」を期して命名された平成の位置づけについては、これから研究が進んでいくことと思われるが、光と影が混在した時代であったと言えよう。

平成元年(1989年)には、日本では日経平均株価の史上最高値更新、海外ではベルリンの壁が崩壊し冷戦が終結、世界中で高揚感が見られたものの、その後は世界各地でテロ・紛争・戦争が頻発、また地球温暖化の影響もあり自然災害も多発している。先端技術の著しい進歩により人生100年時代が到来した一方で、先行き不透明感の高まりから、長生きを素直に喜べない時代となっていることも否定しがたい。

足元では数多くの課題が複雑に絡み合い解決の糸口を見いだしづらくなっているものの、平成30年間を通じて体得した教訓も多い。阪神・淡路大震災、東日本大震災と言わずとも、自然の猛威の前では、人間は小さな存在にすぎず、人知の限界を痛いほど思い知らされた。先端技術が進歩すればするほど、私たち自身が技術の進歩とどう向き合っていくのかを自問自答する機会も増えている。

昭和の時代には経済一辺倒のエコノミックアニマルと言われた日本人が、平成の教訓を糧に、「ものからことへ、ことからひとへ」とどのように進化していくのか世界中が注目している。課題山積の日本だけに、温故知新よろしく、日本人ならではの和魂和才を呼び覚まし、先端技術の組み合わせ、知の統合による課題解決を図ることが必要だ。そして、2020年東京オリンピック・パラリンピック、2025年大阪・関西万博を橋頭堡として、人生100年時代を世界中の人々と分かち合える豊かな未来社会の実現をめざしたい。
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