マンスリーレビュー

2019年12月号トピックス5経済・社会・研究開発

デジタル技術による2050年の「時短」ビジネス

同じ月のマンスリーレビュー

タグから探す

2019.12.1

政策・経済研究センター木根原 良樹

経済・社会・研究開発

POINT

  • 子育て世代女性は仕事や家事を1日平均1.9時間減らすことを希望。
  • こうした「時短」にはデジタル技術が大いに役立つと期待。
  • 企業にとっても新サービス創出を通じたビジネスチャンスになりうる。
2050年に向けてデジタル技術は日本人の生活をどう変えていくのだろうか。デジタル技術を活用した掃除・洗濯や介護などに関する新サービスについては、若い女性を中心に、利用したいとする意向が顕著である※1。2050年時点で予想される生活の具体像を探るため、「デジタル技術などの進歩に伴い現在よりも自由に時間を使えるとしたら、1日の時間をどう使いたいか」をアンケート調査※2で尋ねた。

それによると、子育て世代(20〜40代)の有職女性は現在、仕事や通勤、炊事・掃除・洗濯など、育児・介護に、1日あたり計9.2時間(平日と休日を合わせた平均)を費やしている。2050年にはこれを1.9時間減らして計7.3時間にしたいと考えている。この内訳を見ると、仕事・通勤は1.3時間、育児・介護は0.3時間、炊事・掃除・洗濯などは0.2時間減らしたいという。一方で、旅行や趣味、睡眠に充てる時間は増やしたいとしている。デジタル技術を利用して仕事や家事の時間を削減する半面で、旅行や趣味の時間は実体験を重視して増やしたいという傾向が見られる(図)。

1970年から1995年に女性が家事に費やす時間は1日あたり約1時間減ったとの推計がある※3。この間、1986年の男女雇用機会均等法の施行もあって女性の社会参加に拍車が掛かった。電子レンジなどの普及が進んだことで、調理済み食品を買って自宅で食べる、中食産業という新ビジネスも出現した。

2050年までに1.9時間の「時短」を実現する具体的な立役者としては、インターネットによるリモートワークや自動運転車による送迎、ロボットによる掃除・洗濯などが考えられよう。こうしたサービスは消費をけん引する女性たちの利用意向も高いことから、企業にとって注目すべきビジネスチャンスとなりうる。

人が感じる幸福は、1日のうちにどれだけ充実した時間を過ごしたかどうかに関係するとされている。2050年に向けて、デジタル技術の進歩を、日本人にとって充実した時間の増大に役立てていくことが肝要だ。

※1:MRIマンスリーレビュー「デジタル時代だからこそ意味をもつ実体消費」(2019年9月号)

※2:三菱総合研究所「生活者市場予測システム(mif)」による「未来社会構想2050アンケート」調査。
対象:日本全国の20~69歳の男女サンプル数:5,000人
調査時期:2019年5月
調査方法:ウェブインターネット調査

※3:NHK放送文化研究所「放送研究と調査:45年で日本人はどう変わったか(1)」(2019年5月号)

[図]1日の時間配分(平日・休日の平均)、現状と2050年の希望

バックナンバー

関連するナレッジ・コラム

もっと見る
閉じる