佐々木 美奈子
エネルギー・サステナビリティ事業本部
環境イノベーショングループ
キャリア入社
Career Path
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生産環境工学科 卒業
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農学院 環境資源学専攻 修了
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建設コンサルタント会社 入社
(2019年 退職) -
三菱総研 入社/環境・エネルギー事業本部に配属
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エネルギー・サステナビリティ事業本部に組織改称
現在の仕事内容について教えて下さい。
SDGs経営の戦略づくり
私が所属するエネルギー・サステナビリティ事業本部では、2050年カーボンニュートラルに向けた脱炭素社会や政策課題・事業課題の解決に向けたリサーチ・コンサルティングを行っています。その中で私は、気候変動によって社会に生じるさまざまなリスクに関して、政策調査、海外での脱炭素・資源循環プロジェクトの組成に携わっています。最近では、企業のSDGs/ESG経営の戦略作りや事業検討の支援にも携わっています。
企業がサステナビリティ戦略の中で扱うテーマは多様です。自社や社外関係者にとって重要な課題(マテリアリティ)の特定や、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に対応したリスク・機会の分析を行い、対応策として企業の環境価値向上に向けた戦略策定を支援しています。私は特に、リスク・機会の分析を得意としていますが、所属部署には脱炭素や資源循環分野の専門家がいますので、社内で連携し課題を深く分析することも私の役割です。
三菱総合研究所に入社を決めた理由は何ですか。
民間事業から気候変動問題にアプローチしたい
前職では、気候変動対策に関する日本国内の政策策定調査から、海外での脱炭素プロジェクトの形成まで幅広く挑戦しました。ただ、制度設計に留まりがちで気候変動対策が進んでいる実感が湧かず、パブリックセクター(公共事業)にできることの限界を感じていました。
その頃、現在のSDGs/ESGと呼ばれる考え方への転換が始まりました。それまで社会課題への貢献活動は、途上国を取り残さないための「先進国の戒め」という意味合いが強く、企業が片手間に行うものでした。それが先進国も含めてグローバルで、企業の本丸である事業活動によって直接貢献する考えに移行しました。これを追い風にプライベートセクター(民間事業)から気候変動問題にアプローチしたいと考え、転職を検討するようになりました。
政策志向を掲げる三菱総研だからこそ、社会的な潮流の変わり目を一早く捉えることができると考え入社を決めましたが、期待はキャリア入社後も裏切られなかったです。
どのようなところに仕事のやりがいや難しさを感じますか。
地道に自分の強みを探す
キャリア形成の道筋を描くのは簡単ではありませんでした。転職を通じて職場が変わることで、前職での経験や強みだと思っていたものを、再定義する必要がありました。馴染みのないテーマもあったので、前職の経験を踏まえ調査し、同僚やお客様と意見交換を繰り返しながら、課題に応える上での自身の強み・弱みを考えました。新たな職場で自身の強みを探すためのアクションは地道でした。
キャリア入社後4年が経過し、新たな事業テーマを作ることに。初めは調査の中の小さな項目だったものが、今では1つのプロジェクトになり、プロジェクトリーダーを務めることができるようになったことを嬉しく感じています。
三菱総研の上司・同僚は「問題提起をされたら解決したくなってしまう人」が多いです。私のテーマを自分事化して一緒に考えてくれる職場環境だからこそ、私も試行錯誤の道を進むことができたので、とても感謝しています。
三菱総合研究所の企業価値を、どのような点で感じますか。
社会の変化を捉え、発信し続ける
政策志向を掲げる三菱総研の企業価値は、社会の変化を一早く捉え、分かりやすく整理し、社会に発信し続けている点にあると思います。私が支援している政府・民間企業のお客様からは、政策的・学術的な根拠に基づき正確であることや、具現化できなかった論点を資料として提示できることを評価いただいていると認識しています。お客様が、安心して次に取り組むべき政策や事業の方向性を検討できるようにすることが私たちの役割だと考えています。
価値提供ができる理由の一つには、研究員の専門性が幅広いため、一つのテーマを複眼的に分析できる点にあると思います。所属部署やプロジェクトメンバーで解決できないことがあれば、社内の研究員を頼れば解決できてしまうことに、キャリア入社当初は非常に驚きました。
今後どのような仕事に挑戦したいですか。
常識を疑い、社会課題を捉える
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、中間目標のほとんどが2030年時点に設定されているので、残された時間は10年もありません。しかし、排出削減努力や災害激甚化への備えといった気候変動対策は、個別セクターの目標や企業の戦略・アクションとしてようやく位置付いたところです。これからはその取り組みを拡大し実行できるよう、政策的な制度拡充や、企業戦略上の体制整備・資金確保といった努力を継続することが求められます。目まぐるしく変化する社会の中で、冷静な目で課題の優先付けや理由付けをすることが大事だと考えています。
言葉ほど容易いはずはありませんが、困難な状況に直面しても、一人の研究員として解決策を提示できるようになりたいです。そのためには従来の手法や考え方を疑い、新しい社会課題を捉えようとする意識が必要だと思います。職業柄、自分ではなく誰かの調査・検討を支援することが多いですが、一人称でやるべきことをこれからも考えながら、一つひとつ取り組んでいきたいです。
仕事での主な1日の流れを、具体的に教えて下さい。
- 朝は、集中力が一番高くポジティブな思考ができる時間帯です。新しいテーマについて深い思考が必要な調査や、お客様への課題提起につながる資料作成といった重たい仕事に取り組みます。緊張感はありますが、この時間が充実すると気持ちのいい1日になります。毎日できるわけではありませんが、業務管理やタイムマネジメントで工夫し、朝時間を意識するのがマイスタイルです。
- お客様との打ち合わせです。調査の進捗報告、課題の共有、次のアクションを確認します。2時間を超えることもあるので、進行役になる場合は冒頭でアジェンダとおおよその時間配分を提示してから本題に入るようにしています。また、説明の途中で区切ってお客様のリアクションを得ながら進めるように心がけています。
- プロジェクトメンバーとの社内会議です。皆が別々のプロジェクトを持ち、社外ミーティングの合間に30分~60分で設定しているので、集合と解散の時間は比較的正確です。各人に割り振られた調査の進捗を持ち寄って議論し、次回の資料イメージを擦り合わせます。社内でも対面で顔を合わせることが少なくなったので、数分だけでも雑談をと、余計な話をあえて持ち込むこともあります。
- 日中に共有された資料に目を通して、コメントを返します。日中のやり取りがチャットだけになることもあるので、貴重な意見や調査をアシストしてくれた上司・同僚に、お礼の言葉をしっかり伝えて、いい関係で次のサイクルを迎えられるよう工夫しています。
- 日中の打ち合わせを振り返り、タスクを整理します。エクセルで管理しているタスクと、翌日以降のタイムスケジュールを見ながら、仕事の優先順位を決めます。21時を過ぎると思考が停滞するので、思い切って翌朝に持ち越す場合もあります。
Off Scene
趣味/オフの過ごし方を教えて下さい。
週末は1日だけ仕事のことを考えない日を作るのがマイルールです。午前中にのんびり過ごすのが一番贅沢、というのが私の口癖でしたが、夫の健康志向に刺激されて、遠出して緑地・庭園を散歩したり、日帰りでドライブや温泉を楽しんだりしています。時間を気にせず家族や自分と向き合うと、翌日から安心して仕事に取り組めます。私なりの仕事と家族・自分のバランスの取り方です。