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PROJECT STORY 02
無線通信×市場創造
5Gが導く、地域・産業の豊かな未来
無線の社会インフラ化による社会課題の解決および市場創造

INTRODUCTION

2030年頃には、5Gの次の規格としてBeyond5G(以下、B5G)の時代が到来するといわれています。AIやロボット、センサを主体とした高度な通信機能の実現が期待されています。

例えば、リアルな世界をデジタル上の双子として再現する「デジタルツイン」が実現され、条件をさまざまに変えて何度でも試行や予測を行うことができるようになります。「飛躍的に高度な情報通信インフラ基盤とその民主化がもたらす一億総快適社会」という社会像を思い描いたとき、重要となるのが「快適」「成長」「公平」の3つの柱です。

三菱総研は、B5Gを見据えた周波数のさらなる有効利用や新しい無線システムの社会実装を推進するべく、政策立案のための調査研究をはじめ研究開発や実証実験、新事業創出に関するプロジェクト運営や技術検討に取り組んでいます。

MEMBER

友部 勝文
デジタル・イノベーション本部
2018年 入社
理工学研究科 開放環境科学専攻 修了
横山 魁
フロンティア・テクノロジー本部
2018年 入社
政策・メディア研究科 政策・メディア専攻 修了

MEMBER’S VOICE

QUESTION 01

取り組んでいるテーマやプロジェクトについて教えてください

無線周波数の効率的かつ効果的利用を目指す

現在の日本、特に地域社会においては、人口減少を背景とした労働力不足への対応や生産性の向上が喫緊の課題となっています。課題解決策の一つとして、作業の自動化やIoTなどを利用した効率化が期待されますが、技術の基盤となる無線インフラに目を向けると、無線利用の需要増大に伴い無線の周波数はひっ迫しているのが現状です。限られた資源である無線の周波数を、効率的かつ効果的に利用することが求められています。

三菱総研では、社会課題の解決や市場創造を目的として、官公庁や民間事業者などと連携しながら無線インフラを有効利用するための取り組みや支援を行っています。特に私が所属するデジタル・イノベーション本部 ICTインフラ戦略グループでは、デジタル活用におけるさまざまな社会課題の解決に向けた調査研究コンサルティングや実証実装支援を行っています。

その中でも私は、第5世代移動通信システム(5G)を活用したソリューションの創出を目指す開発実証プロジェクトに取り組んでいます。5Gは超⾼速・大容量、超低遅延、多数同時接続といった特長を有しており、Society 5.0 を支える基幹インフラとして、幅広い産業分野での活用が期待されます。「5Gの効率的かつ効果的な利活用の実現」が、本プロジェクトのミッションです。

周波数を有効利用するためには、同一周波数を異なる無線システム間で電波干渉なく利用できる環境の整備が重要です。私が所属するフロンティア・テクノロジー本部は、周波数の有効利用を促進するため、携帯電話などの移動通信システムや気象レーダーなどの各種レーダーと異なる無線システム間における、新たな周波数共用方式の社会実装に向けた制度設計や技術実証の支援を実施しています。

私が取り組んでいる一つに、ダイナミック周波数共用に関するプロジェクトがあります。通常、同一周波数を異なる無線システム間で共用する場合は、相互に電波干渉が生じないように、地理的な離隔距離を十分に保つことによる「静的な共用」が実施されています。

本プロジェクトでは、関連する研究開発事業者などとの連携のもと、既存無線システムの運用状況を考慮した上で、新規無線システム側の4G・5Gと地理的または時間的に柔軟な周波数共用を可能とする「動的な共用」の実現に向けた調査検討を実施しています。

QUESTION 02

自身の役割について教えてください

実証全体を取りまとめる

先ほどご紹介した開発実証は、通信事業者や関連分野の専門企業などを含めたさまざまな関係者により構成されたコンソーシアムによって実施されています。5Gは幅広い産業分野での活用が期待されていることから、開発実証が行われている分野は農業や製造業、建設業など多岐にわたります。

私は開発実証全体のPMO(Project Management Office)として実証内容や方法の方向性やレベル感の整理から、実証を進める上で生じる課題や対応状況の把握、注意・留意事項の共有まで全体の取りまとめを担っています。開発実証全体に横断的に関わる立場のため、5Gを活用したソリューションの有効性評価や導入促進のためのモデル化などの支援も行います。

ダイナミック周波数共用の社会実装に向け、関連する周波数共用技術の海外動向調査、既存無線システムと新規無線システム側の4G・5G間の共用条件および運用条件の検討、検討内容のステークホルダー間調整などにコアメンバーとして携わりました。

本プロジェクトは既存無線システム側の事業者、新規無線システム側の事業者、関連する研究開発事業者など、社外パートナーと多くの関係者が携わる大規模なものです。社内間の円滑なコミュニケーションの促進や他メンバーの作業支援も、私の担う役割でした。

QUESTION 03

他部門との連携について教えてください

各分野に精通したプロフェッショナルと連携

本開発実証に関わる上では産業分野の深い理解が必要不可欠です。また課題解決を進めるためには、対象分野におけるパートナーとの連携も重要です。三菱総研ではさまざまな研究分野のプロフェッショナルが学際的に活動しており、必要に応じて連携を図ることが可能です。

例えば建設業に関する開発実証を進める際は、国土・地域政策やインフラ管理の専門家を有するスマート・リージョン本部と連携し、建設分野におけるソリューションの普及展開方策の検討などについて専門的な観点からアドバイスをもらいます。

無線通信技術や周波数共用技術に関する豊富な実績と深い知見を有するフロンティア・テクノロジー本部に加えて、デジタル・イノベーション本部、公共DX本部、グループ会社のMRA(エム・アール・アイ リサーチアソシエイツ)も参画することにより、制度・技術・システム・業務面における検討総合力の向上を実現しました。

具体的には、社会実装に伴う運営体制の検討や海外動向調査についてはデジタル・イノベーション本部と、ダイナミック周波数共用システムの運用者および利用者等に関わる業務設計については公共DX本部と、共用検討シミュレーションやデータ集計についてはMRAと連携しました。

QUESTION 04

どのような部分にやりがいを感じましたか

利便性や豊かさを享受できる社会の実現

事業者の課題解決に貢献できることにやりがいを感じます。本開発実証に参画している事業者は、自組織のビジネスにおける課題解決策の一つとして5Gに大きな期待を寄せています。事業者の声を理解した上で、課題解決に向けた提案を行い、価値を提供し続けることが重要だと考えています。

ダイナミック周波数共用の実現により、既存無線システムに対する電波干渉を確実に保護した上で、社会要請に応じたニーズの高い新規無線システムの適時適切な導入が可能となります。デジタル時代に必要不可欠な電波資源の公平かつ能率的な利用によって、あらゆる経済・社会活動で利便性や豊かさを享受できる社会の実現に関与できることにやりがいを感じています。

QUESTION 05

どのような部分に困難を感じましたか

異なる立場の意見を取りまとめ、解決策を提案する

課題を有する事業者や通信事業者など、さまざまなステークホルダーと調整を行います。ソリューションの普及展開を進めるためには、関連省庁や業界団体の協力が必要不可欠です。ステークホルダーの立場が異なることを理解した上で意見を取りまとめ、解決策を提案する営みには多くの困難がありますが、その部分にこそ三菱総研の存在価値があると考えます。

多くの関係者が携わる大規模プロジェクトであるため、全体進捗管理および対外調整が煩雑になり、それが最も困難に感じました。全体進捗管理および対外調整に重きを置いたチームと、各種調査検討の実作業に重きを置いたチームとで役割分担し、お互いに適時協力体制を組むことでプロジェクトが円滑に進むよう取り計らいました。

QUESTION 06

プロジェクトの社会的意義・三菱総研の提供価値はどのような部分にありますか

国民生活の利便性向上に寄与できる

本開発実証で検証される技術は、社会課題の解決を目的としています。したがって社会実装に向けた開発実証自体に、大きな社会的意義があると考えます。

周波数共用方式の高度化により、国民生活に欠かせない携帯電話の利用周波数帯の拡大に寄与できるため、非常に意義あるプロジェクトだと思います。三菱総研としての最大の提供価値は、ステークホルダー連携のハブとして、ダイナミック周波数共用の条件や社会実装に伴う運営体制などについて事業者の意見も反映した形で取りまとめる、いわば中核的な役割を果たしていることにあると思います。

QUESTION 07

プロジェクトの今後の展望を教えてください

無線の社会インフラ化を目指す

今後、実証結果を踏まえ社会実装が進められていく予定です。実証に対する継続的な支援だけでなく、社会実装への支援にも踏み込みながら、バリューチェーン全体の質の向上に貢献していきたいと考えています。

まずはダイナミック周波数共用の社会インフラ化を目指したいです。そして社内外問わず連携の輪を広げ、地域や産業のニーズに応じた多様なアプリケーション開発などのサービス提供にもつなげ、社会課題の解決に貢献していきたいと考えています。

※本記事の内容は取材当時のものです

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