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PROJECT STORY 05
エネルギー×社会変革・社会実装
社会課題解決企業としての責任を果たす
社会課題解決を「支援する」から「リードする・自ら実施する」へ
─ エネルギー分野での取り組み ─

INTRODUCTION

三菱総研は、創業来のシンクタンクとしての強みを生かしながら当社グループ自身が課題解決ビジネスの担い手となり、お客様やパートナーとの共創によって社会実装に取り組むことで、あるべき未来社会の実現を目指しています。

A.社会の潮流を踏まえ、未来社会の姿や社会課題の解決策を研究・提言
B.社会やお客様の課題分析を踏まえ、課題解決に向けた政策・事業を構想
C.社会課題解決に向けた政策や事業化の設計、戦略策定、実証支援
D.未来社会の実現策や社会課題の解決策をサービス主体として実装・提供

具体的には、お客様の課題解決や社会変革の実現に向けて「VCP(Value Creation Process)」と呼ばれる価値創造サイクルを実践しています。これは社会課題解決に必要なAからDまでの各プロセスにおいて、常に前後のプロセスと最終的な「社会実装」を意識して業務を遂行する仕組みです。

本ページでは、VCP重点領域におけるエネルギー分野の事例をご紹介します。

『エネルギー分野のVCP経営への取り組み』

MEMBER

志田 龍亮
政策・経済センター
2008年 入社
工学系研究科 システム創成学専攻 修了
湯浅 友幸
イノベーション・サービス開発本部
2012年 入社
工学系研究科 システム創成学専攻 修了
安藤 希美
経営イノベーション本部
2017年 入社
理工学研究科 土木工学専攻 修了

MEMBER’S VOICE

QUESTION 01

取り組んでいるテーマやプロジェクトについて教えてください

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて

日本の社会課題の一つである「2050年カーボンニュートラルの実現」に向け、エネルギー分野の自社研究・政策提言に取り組んでいます。具体的には自社開発したエネルギー需給モデルと経済分析モデルを組み合わせて、カーボンニュートラルの社会影響を幅広く分析しています。

主に分散型エネルギーリソース(Distributed Energy Resource ※以下、DER)の普及拡大に関わる業務に取り組んでいます。DERとは定置用蓄電池、EV(車載用蓄電池)、自家発電などの中小規模・分散型のエネルギー設備を指します。これは従来の大型の火力発電に代わって、再生可能エネルギーとともに電力供給や電力系統の安定化への貢献が期待されています。

現在は、DERを活用したビジネスを行う電力事業者等に向けた分析・情報提供サービスの開発プロジェクトに携わっています。従来三菱総研はコンサルティングを通じてお客様の事業を第三者的に支援してきました。本プロジェクトは社内の新規事業として、三菱総研が自ら事業の主体となって開発投資を行い、サービスを販売するビジネスモデルを目指しています。

私が所属する電力・エネルギーグループは、将来の電力事業に影響を与えるさまざまなテーマについて、官公庁への制度・政策立案支援の実施や、これを起点とする民間事業者向けのアドバイザリーサービスを提供しています。その中で私は主に送配電事業に関する課題解決に取り組んでいます。カーボンニュートラルを目指す上では再生可能エネルギーの増加が必須であり、いかにコストを抑えて効率的に送配電設備を構築するかが課題となります。

具体的にはDERを制御することで送配電設備の増強を回避する「DERのフレキシビリティ活用」を検討し、フィージビリティスタディを実施するプロジェクトに参加しています。

QUESTION 02

自身の役割について教えてください

社内外問わず意見を取り入れ、
市場にマッチしたサービスを実現する

研究提言チームのチーフとして、エネルギー分野の自社研究の取りまとめを行っています。メンバーと議論・協力しながら研究を進めるとともに、社内の多くの専門家と連携して「カーボンニュートラル」という大きなテーマに取り組んでいます。

サービス開発のプロジェクトマネージャーを務めています。役割を大きく分けると「開発プロセスのマネジメント」と「ビジネス戦略検討」があります。開発プロセスのマネジメントでは、サービスの基盤となるシステムの開発の方針検討と進捗管理を行っています。機械学習や数理モデルの分析を専門とするメンバーと、サービスに実装すべき機能について日々議論しています。

ビジネス戦略検討では、エネルギー業界の制度や市場動向を踏まえたサービス内容およびビジネスモデルの企画を行います。社内の有識者や業界内の想定顧客の意見を取り入れながら、市場に受け入れられるサービスの実現を目指しています。

フィージビリティスタディの中でも、DERのフレキシビリティ活用による送配電設備の増強回避の費用便益分析を担当しています。本施策を実施することで創出される便益と、それに要する費用を試算して比較することで、経済的合理性を示すことが求められます。

送配電設備の想定を行うため、送配電事業者の方々との協働は不可欠です。前提条件の置き方や試算に必要となるデータについて、すり合わせを行いながら試算を進めています。国の政策に関係する施策のため、官公庁の方々からも意見をいただいて試算に反映しています。最終的には費用便益分析の結果を公の検討委員会で発表し、今後の政策検討を進める上での判断指標の一つとなります。

QUESTION 03

他部門との連携について教えてください

議論を重ね、整合性の取れた発信を目指す

カーボンニュートラルの実現はエネルギー分野だけではなく、社会・産業に広く影響を与えます。例えば脱炭素化が進むにつれて、伸びる産業があれば縮む産業もあり、業種を超えた人材の移動が重要です。また実現に向けて素材をどのように再利用していくか、といった循環の視点も欠かせません。こうした背景から、同じく社会課題解決に取り組む人財分野や循環分野など他分野のメンバーとも議論を重ね、三菱総研として整合性の取れた発信になるよう心がけています。

DERをテーマとした調査・コンサルティング業務に携わるサステナビリティ本部や経営イノベーション本部のメンバーとは、国のDER活用政策の動向などについて日頃から社内でディスカッションを行い情報共有しています。これらの本部との連携の下で、本サービスの顧客になりうるエネルギー事業者などとも、幅広いネットワークを構築しています。

このように社内外問わずさまざまなメンバーと密にコミュニケーションを取り、制度動向や市場ニーズに即したサービス開発・営業戦略検討につなげています。

フィージビリティスタディでは、DERのフレキシビリティ活用を行うためのシステムも検討しています。そのためDX戦略の策定を行う企業DX本部や、デジタル技術を活用したサービス提供を行うイノベーション・サービス開発本部と連携して、社会実装を支援しています。

費用便益分析においては、他部門の関係者が検討したシステム案や業務フローを費用便益分析の試算の想定に反映させる必要があるため、適宜連携しながら検討を進めています。

QUESTION 04

どのような部分にやりがいを感じましたか

DER普及拡大を自らの手で推進できる

研究を進める中で「まだ世の中に注目されていないが、影響が大きい重要な論点」を発見することがあります。そこから新しいインサイトの確信が持てるようになったときに大きなやりがいを感じます。往々にして、それらのインサイトは領域横断的な部分にあり、特定分野の知見だけでは気づけません。そうした意味でも社内の他分野の専門家との議論は重要と感じます。

DERの普及拡大に貢献する社会的意義の高い事業を、自らの手で推進できる点です。これまで私は官公庁や民間事業者などのお客様に対して、DER普及拡大に向けた政策検討やビジネス検討のコンサルティングを行ってきました。しかし、技術や制度等の課題から、欧米諸国と比べて日本ではなかなか普及が進まないことに歯がゆさを感じていました。

本プロジェクトでは、三菱総研自らがDER活用に関するコンサルティングの経験や知識を生かして課題解決のためのサービスを手がけているため、非常にやりがいのある取り組みです。

国の政策を決定する上での判断指標となる費用便益分析を担い、さまざまなステークホルダーとの調整を行うことには大きな責任が伴いますが、その分大きな達成感を味わえます。また、公の検討委員会の発表を無事終えたときや報告書が公表されたとき、国の審議会の資料に費用便益分析の結果が引用されていたときには、苦労した甲斐があったと感じます。

QUESTION 05

どのような部分に困難を感じましたか

いかにビジネスとして成立させるか

もともと私は官公庁・民間のお客様を対象としたコンサルティング業務に長く従事していました。そのため中立の立場で責任のある発信を行うというマインドになることが、最初のチャレンジでした。また社内にも多くのステークホルダーがいるため、さまざまな提言の取りまとめを行うことも、今思えば粘り強い対応が必要で大きなチャレンジだったと思います。

検討中のサービスをいかにビジネスとして成立させ、成長させていくかが悩ましい点です。DER普及拡大の必要性はエネルギー業界内の共通認識であり、お客様とのディスカッションでも開発中のサービスへのニーズは確認されています。

一方、事業を推進するためには利益を継続的に生み出せるサービスに仕立てる必要があります。より幅広いお客様にサービスを提供するべく、機能開発だけでなくマーケティングやビジネスモデルも含めて方法を模索していきたいと思っています。

費用便益分析のための前提条件を想定するために、官公庁や送配電事業者、DER提供者など、さまざまなステークホルダーと合意形成する部分が多いです。各々の意見を踏まえて前提条件を調整することに難しさを感じました。試算を行う上でも、社外の方と協働で作業を行う場面は少なくありません。自分が中心となって建設的な議論を先導する必要があり、試行錯誤しながら進めていくことが多かったです。

QUESTION 06

プロジェクトの社会的意義・三菱総研の提供価値はどのような部分にありますか

民間企業の立場で、施策の羅針盤を示す

カーボンニュートラルの実現について懐疑的な見方があるのも事実です。その中で何をすべきか、どう社会を変えていく必要があるのか、という羅針盤を民間企業の立場で示すことは大きな意義があると思っています。政府や研究機関でもさまざまな見方が出されていますが、それぞれの立場で意見を出し合い、万機公論に決すことが重要と考えます。

DERの普及拡大は、カーボンニュートラルに向けた方策の一つです。三菱総研のサービスを通じてDERの普及拡大に貢献できれば、それは脱炭素社会の実現という社会課題の解決に直結すると認識しています。

シンクタンク・コンサルティング事業を通じて、これまで私たちはDERの活用における多様な定量的・定性的分析のノウハウを蓄積してきました。本プロジェクトではこれらのノウハウを自社サービスとしてシステム化して提供することを目指しています。これにより一部のお客様にとどまらず、DERの活用を目指すあらゆるお客様に、三菱総研の分析ノウハウを利用いただくことができます。その点に大きな価値があると考えています。

私たちの取り組みは、カーボンニュートラル達成に欠かせない送配電設備の効率化に寄与し、政策の判断指標の一つとなります。したがって社会的意義は大きいと感じています。またステークホルダーが多岐にわたるため、適宜調整を行いながらフィージビリティスタディを進める必要があります。その調整役の立場である三菱総研が担うミッションは非常に大きいと思います。

QUESTION 07

プロジェクトの今後の展望を教えてください

既存事業とのシナジー

今後カーボンニュートラルの社会影響について対外発表を行っていく予定です。政府でもカーボンニュートラルの実現に向けた具体策を検討しており、こうした政策側の動きともタイムリーに呼応し、有益な提言を出せればと考えています。

三菱総研は委託事業だけでなく自社事業も幅広く手がけています。自社で実施する社会実装の動きとも連携しながら、カーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでいきたいです。

まずは現在開発中のサービスの完成とサービスインの実現を目指します。三菱総研の既存事業とのシナジーを実現することもポイントです。三菱総研はエネルギー系のベンチャー企業とも連携しています。そこで生み出された価値を活用しながら、より一層事業を拡大できればと考えています。

現在はDERそのものに焦点を当てたサービスの開発を進めていますが、DERは再生可能エネルギーとの連携運用によってビジネスチャンスのさらなる拡大が期待できます。三菱総研のエネルギー部門では自社事業としてメガソーラーの開発も手がけています。「DER×再生可能エネルギー」という形でシナジーを生み出せるサービスも、将来的につくっていきたいと考えています。

フィージビリティスタディ完了後は、フィールド実証事業に移行します。本格的な社会実装に向けて、DERのフレキシビリティ活用の実現性と運用課題を明らかにしたいと思っています。実証事業を経て本格的に社会実装していく際には、三菱総研として事業のルールメイキングやシステム開発支援、サービス提供などを担っていきたいと考えています。

※本記事の内容は取材当時のものです

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