世界的なカーボンニュートラルの急進を受けて、将来の技術と見なされていた「二酸化炭素回収・有効利用・貯留(CCUS:Carbon Capture Utilization and Storage)」についても、できる限り早期での社会実装が期待され始めた。CCUSは、排出されたCO2を分離・回収して、地中深くに圧入し、固定化・貯留する技術である「二酸化炭素回収・貯留(CCS)※1」と、回収したCO2を原料として、化成品や燃料製造へ再利用する技術である「二酸化炭素回収・有効利用(CCU)※2」の総称である。
CCUSへの期待の背景には、2020年から運用が開始されたパリ協定を受けて、各国がカーボンニュートラル目標を掲げていく中で、全ての産業・業種における削減対策が厳しく求められるようになってきている点にある。このうちCCSは、これまで削減が困難とされていた産業セクター(産業プロセス由来の排出や高温の熱を必要とするセメント・鉄鋼・化学など)や、電力供給安定化のために今後も必要とされる負荷追従型の火力発電所において、重要な削減対策として、世界の産業界がにわかに傾注している。CCUについても、回収されたCO2を資源として捉えることで、従来型の化石燃料由来の原料や燃料を代替する排出削減効果について、注目されている。
ただし、CCUSについては、前述した期待の反面、CO2回収から輸送、利用・貯留に要する総投入エネルギーや設備導入コスト、さらには各プロセスでのCO2漏えいリスクや長期貯留の実現性等の観点からさまざまな意見が存在する。
その一方で、実装に向けた技術開発や制度整備が各国で進み、特に排出源に隣接する適地など好条件プロジェクトから段階的に事業化構想が進んでいる。
ここでは、立ち上がりつつあるCCUS市場の特性や、適正な市場確立に向けた条件等を考察する。
CCUSへの期待の背景には、2020年から運用が開始されたパリ協定を受けて、各国がカーボンニュートラル目標を掲げていく中で、全ての産業・業種における削減対策が厳しく求められるようになってきている点にある。このうちCCSは、これまで削減が困難とされていた産業セクター(産業プロセス由来の排出や高温の熱を必要とするセメント・鉄鋼・化学など)や、電力供給安定化のために今後も必要とされる負荷追従型の火力発電所において、重要な削減対策として、世界の産業界がにわかに傾注している。CCUについても、回収されたCO2を資源として捉えることで、従来型の化石燃料由来の原料や燃料を代替する排出削減効果について、注目されている。
ただし、CCUSについては、前述した期待の反面、CO2回収から輸送、利用・貯留に要する総投入エネルギーや設備導入コスト、さらには各プロセスでのCO2漏えいリスクや長期貯留の実現性等の観点からさまざまな意見が存在する。
その一方で、実装に向けた技術開発や制度整備が各国で進み、特に排出源に隣接する適地など好条件プロジェクトから段階的に事業化構想が進んでいる。
ここでは、立ち上がりつつあるCCUS市場の特性や、適正な市場確立に向けた条件等を考察する。