前編「プロファイルリスクの事例 」 では、FIP(Feed-in Premium)制度において生じる不確実性の一つとしてプロファイルリスクについて説明した。具体的な定量評価例として2020年度の北海道エリアにおける風力発電のプロファイルリスクについて、個別発電設備(個別設備)として東北エリアの平均的な発電パターン(プロファイル) と同様のプロファイルをもつ設備を想定した試算の結果(以下、前回試算)を示した。
これは2020年度という特定の1年間を対象にした分析結果であるが、風況などの気象条件は年度によって異なるため、エリア平均のプロファイルと個別設備のプロファイルの乖離(かいり)パターンも時系列的に変わり得る。一般的に発電事業は数十年にわたる事業期間となるため、特定の時間軸のみならず、事業期間中に発生し得るリスク水準を総合的に把握することも重要である。
仮に個別設備のプロファイルについて過去実績データの蓄積があれば時系列的な分析も可能だが、事業開始前に豊富な実績データが用意できるケースは少ない。そこで、過去実績データが限定的な場合でもプロファイルリスクの時系列的な不確実性を評価する試みとして、本コラムでは「モンテカルロシミュレーション」を用いた確率的評価方法の例を示したい。
モンテカルロシミュレーションとは、確率分布に基づく乱数を繰り返しランダムに発生させることで、結果の発生可能性を計算する分析手法である。前回試算と同様、2020年度の北海道エリアの風力発電について、個別設備としては東北エリア平均と同じプロファイルを想定した試算を行う。計算ステップは以下4つの手順に大別される(図1)。
①:エリア平均プロファイルと個別設備プロファイルの関係性に基づいて確率分布を作成する
②:①の確率分布を基に仮想的に個別設備プロファイルを生成・検証する
③:②の仮想プロファイルで得られる収入計算を行い、エリア平均を前提にした収入と比較する
④:②~③を1万回繰り返して比較結果の分布を描く
これは2020年度という特定の1年間を対象にした分析結果であるが、風況などの気象条件は年度によって異なるため、エリア平均のプロファイルと個別設備のプロファイルの乖離(かいり)パターンも時系列的に変わり得る。一般的に発電事業は数十年にわたる事業期間となるため、特定の時間軸のみならず、事業期間中に発生し得るリスク水準を総合的に把握することも重要である。
仮に個別設備のプロファイルについて過去実績データの蓄積があれば時系列的な分析も可能だが、事業開始前に豊富な実績データが用意できるケースは少ない。そこで、過去実績データが限定的な場合でもプロファイルリスクの時系列的な不確実性を評価する試みとして、本コラムでは「モンテカルロシミュレーション」を用いた確率的評価方法の例を示したい。
モンテカルロシミュレーションとは、確率分布に基づく乱数を繰り返しランダムに発生させることで、結果の発生可能性を計算する分析手法である。前回試算と同様、2020年度の北海道エリアの風力発電について、個別設備としては東北エリア平均と同じプロファイルを想定した試算を行う。計算ステップは以下4つの手順に大別される(図1)。
②:①の確率分布を基に仮想的に個別設備プロファイルを生成・検証する
③:②の仮想プロファイルで得られる収入計算を行い、エリア平均を前提にした収入と比較する
④:②~③を1万回繰り返して比較結果の分布を描く
図1 モンテカルロシミュレーションによるプロファイルリスク評価の計算フロー